JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

極め付けの名盤! まずはこれから

Winton Marsalis ウィントン・マルサリス J Mood

至極、精巧な音楽 ウィントン・マルサリスも多作であるので、 全作品を聴いている訳ではないが、 ある意味で、ウィントンが到達した、最高に完成度の高い作品が、 このアルバムだと思いたい。 あえて、「思いたい」と表現するのは、 本人は、そう思っていな…

Wether Report ウェザー・リポート Wether Report

ザビヌルとビトウスの関係性について 言わずと知れた、ウェザー・リポートのファーストアルバムである。 改めて、曲のクレジットを見て、 ウェザー・リポート創世記のメンバーの立ち位置というものに想いを馳せてみた。 まず、1曲目の「Milky Way」が、ショ…

Aaron Parks アーロン・パークス Find The Way

流麗 アーロン・パークスを知ったのは、 テレンス・ブランチャードの日本公演で参加していた時に、 若き、パークスの奏でる、瑞々しさが迸るような美しいピアノを BSテレビで初めて視聴した時。 自信に溢れ、既にただならぬオーラが全身に漲って、 楽しそ…

Paul Bley with Gary Peacock ポール・ブレイ・ウィズ・ゲーリー・ピーコック With Gary Peacock

ゲーリー・ピーコックという存在 ゲーリー・ピーコックが逝去したと聞いた。 1935年生まれであるから、85歳で天寿を全うしたということになる。 キース・ジャレットより10歳年上。 ポール・ブレイより3歳年下。 同年代のベーシストでは、 ポール・…

Charlie Haden With Michael Brecker チャリー・ヘイデン ウィズ マイケル・ブレッカー American Dreams

M・ブレッカーとB・メルドーのバラードが聴きたいときは チャーリー・ヘイデンのリーダーアルバムながら、 ストリングス・アレンジに、アラン・ブロードベント、ヴィンス・メンドーサが 関わっているだけあって、上質で優雅なサウンドが心地よく、何と言っ…

Chick Corea チック・コリア Return To Forever

何十年ぶりに聴いてみたら このアルバムジャケットのアートワークの持つ、 強い訴求力は、あまりにも象徴的でわかりやすいため、 ジャケットを見ただけで、聴いたような感覚に陥り、 まず、トレーに乗せることのないアルバムの一つである。 かつて、LPレコー…

Herbie Hancock ハービー・ハンコック  Sunlight

最高にハッピーなハンコック! アルトサックス奏者、加納奈美さんが、 「本日のウォーキングのお供、久々に聴いたけどやっぱいい〜」 と呟いた本作。 元気を出して、前を向いて歩こうという気分にさせてくれる、 私にとっても、とても大切な一枚。 表題曲の…

JOEY CALDERAZZO ジョーイ・カルデラッツォ JOEY CALDERAZZO

THE DRAMATIC PIANIST ジョーイ・カルデラッツオ。 このピアニストを知らない人に、とにかく一度、聴いてもらうためには、 一言で、どんな形容をしたらよいのかを考えてみた。 最初、「ピアノの化身」という形容を使いたいと思ったが、 ミッシェル・ペトルチ…

Alan Pasqua  アラン・パスクァ  Milagro

知的流麗なピアノなら この暑い日に外から帰って、シャワーを浴びて、冷房の効いた部屋で、 冷たいビールを飲みながら、一息つきたい時に、 BGMとして流したいアルバムとして、セレクトしたのが、この一枚。 端正でクール、理路整然としていて、静かな知…

富樫雅彦 MASAHIKO TOGASHI SESSION IN PARIS, VOL.1 "SONG OF SOIL"

富樫✖️チェリー✖️ヘイデン 奇跡の企画 個人的な思入れの強い作品であり、 私にとっての、富樫雅彦の最高傑作である。 「陽光」など、数々の日本におけるジャズの名作をプロデュースした、 キングレコードの高和元彦氏が、パリに富樫雅彦を招いて録音した企画…

Joe Henderson ジョー・ヘンダーソン Power to the People

1969年の音 1969年と聞くだけで、何かあると思ってしまう。 ミロスラフ・ビトウスのインフィニット・サーチが1969年10月。 ビッチズ・ブリューが、1969年8月。 そして、このジョーヘン、初のエレクトリック導入作品が、1969年5月。 …

Dexter Gordon デクスター・ゴードン Go!

軽妙洒脱とはこういう音楽をいう 軽妙洒脱の類語を調べると、いろいろ出てくる。 酒酒落楽、飄々とした、洒落っ気のある、脱力した、垢抜けた、・・・ 全部、ゴードンの音楽そのものと人となりを形容するに相応しい、言葉である。 背が高く、ハンサムで、オ…

JIMMY RANEY ジミー・レイニー TWO JIMS AND ZOOT

深夜に聴きたい渋目の室内楽ジャズ 密かに楽しむ名盤の代表格、「TWO JIMS AND ZOOT」 静かな真夜中に、少し小さめのボリュームで、耳を傾けたいアルバムである。 1964年の録音、二人のギターにズート・シムズが乗っかるという編成の妙、 印象的なジャケ…

Keith Jarrett キース・ジャレット Jasmine

このキース、切なすぎます。 恥ずかしながら、少し感傷に浸りたいとき、泣きたいときに 思わず手に取ってしまうのが、このアルバム。 このヘイデンとの30年ぶりのデュオ作品を聴くと、 あまりに切なくて、泣いてしまうのです。 悲しい曲調とか、大げさな嘆…

Bill Evans & Jim Hall ビル・エバンス&ジム・ホール Undercurrent

二人だからこそ通用する語法の美学 この二人の会話は、 長年、寄り添った夫婦の阿吽の呼吸といった感じというよりも、 互いに信頼し、敬いながらも、久しぶりの再会で、 緊張感と適度な距離感をもって、 カウンターに並んで座って会話を楽しむ 旧知の二人の…

SONNY CLARK ソニー・クラーク Cool Struttin'

パップという様式美で遊ぶ 私は、パップのピアノといえば、バド・パウエルを除いては、 ソニー・クラークが最高にヒップで、完成されたピアニストだと思うのです。 聴けば聴くほど、耳コピすればするほど、 あーなんて、スタイリッシュで上品なタッチ、硬質…

CHICK COREA チック・コリア Friends

チックのどうしても外せない一枚! 数多あるチックの名品の中でも、 このアルバムだけは、何故か手に取ってしまう回数が多く、 いつ聴いても、楽しく、心地よく、リラックスできてしまう、 私にとって、とても大切な作品である。 確か、スイングジャーナルの…

MILES DAVIS マイルス・デービス Circle In The Round & Directions

マイルス自身お気に入りの未発表録音集で概観するマイルスの音楽の変遷 Circle In The Round Directions 「サークル・イン・ザ・ラウンド」と言う、 マイルスの引退中の1979年に発表された未発表曲アルバムの中に、 「スプラッシュ」というナンバーがあ…

Wayne Shorter ウェイン・ショーター Speak No Evil

「悪を言わざる」・・・ウェインのオカルト性 このジャケットといい、タイトルといい、曲名といい、 何ともミステリアスなアルバムが、ウェインらしくて、個人的には一番好きだ。 ジャケットの右半分にボッーと浮かぶ亡霊写真のような女性は、 当時のショー…

CHIARA CIVELLO キアラ・シヴェロ Last Quarter Moon

この人の声には・・・・・ この人の声には、いつもやられてしまう。 もっともっと多くの人に聴いてもらいたいアーティスト、 イタリア生まれのシンガーソングライター、キアラ・シベロ。 トニー・ベネットが評価するだけのことはある。 少し疲れた、翳りのあ…

PAUL BLEY ポール・ブレイ BALLADS

ポール・ブレイの名前を聞くだけで 若い頃、ポール・ブレイの名前を聞くだけで、悶えていた。 名前も、イケメンの風貌も、くゆらすパイプも、アルバムジャケットの気持ち悪さも、 そして、極めてナルシスティックな演奏も、 すべてが、ポール・ブレイという…

BILL EVANS ビル・エバンス Explorations

ピアノトリオの世界を堪能させてくれる一枚です。 私の最初に買ったジャズのレコードが、下の写真のビル・エバンスのトリオ。 1969年にイタリアで録音されたライブアルバムで、 ベースはエディ・ゴメス、ドラムはマーティ・モレル。 当時、全く予備知識…

STEVE KHAN スティーブ・カーン EYEWITNESS

アンソニー・ジャクソンという重要無形文化財 アンソニー・ジャクソンを初めて生で聴いたのは、 ニューヨークの小さな狭い、ジャズクラブで行われた、 ジョン・トロペイとのギグだった。 1メートルくらいしか離れていない、かぶりつきの席で聴いたアンソニ…

Sonny Rollins ソニー・ロリンズ Alfie

なんて切ない! ロリンズのバラード 泣けてくるのです。 2曲目の「He's Younger Than You」。 中年男の悲哀を語った、映画の主題に沿った悲しい気分の曲なのではあるが、 そのことを離れても、この当時のロリンズの 「寂しさ」「焦燥感」「切なさ」「もどか…

Wether Report ウェザー・リポート/Procession

ザビヌルが進もうとした世界 アルバムタイトル「プロセッション」。意味深である。 どんな世界に向かっている、向かおうとしている「行進」なのだろうか。 ジャケットアルバムも、そうした想像を掻き立てる素晴らしい出来である。 このアルバムから、リズム…

CECIL TAYLOR セシル・テイラー Solo

セシル・テイラーという革新 セシル・テイラーは、2013年、 「ピアノによる即興演奏の可能性を極限まで追求した革新的なジャズ・ミュージシャ ン」として第29回(2013)京都賞思想・芸術部門を受賞している。 この賞は、「先端技術部門」「基礎・科学部門」…

IRENE KRAL アイリーン・クラール WHERE IS LOVE?

声というものの相性 心の琴線に触れる歌声というものは、誰しもあると思う。 わたしの場合、 女性ボーカルでは、このアイリーン・クラールとキアラ・シベロ。 男性ボーカルでは、トニー・ベネット。 1978年、46歳でガンで早逝したアイリーンは、 ロイ…

Wes Montgomery ウェス・モンゴメリー A Day In The Life

時を経て輝く 時を経て、作品そのものは、変わらないが、 時を経て、それを聴く私は、変わっている。 当たり前の話だが、 昔よく聴いた音源を久しぶりに聴くと、私の前に立ち現れてくる音像によって、 心が高ぶり、強い幸福感を感じる場合もあれば、 その反…

OSCAR PETRESON オスカー・ピーターソン  We Gets Request

こんな風に弾けたなら ジャケット良し、録音良し、選曲良し、 そして何より、特にこのアルバムのピーターソンは本当に洗練されている。 この1964年に制作された音源を聴くたびに、 「こんな風にオシャレに弾けたらいいなぁ」とため息が出ます。 そんな個…

KEITH JARRETT キース・ジャレット STANDARDS VOL.1

ピアノトリオの可能性を広げた歴史的名盤 キース・ジャレット。 面白い人である。というか、変態である。 私もピアノを弾くので、演奏するための作法や姿勢、メンタルな面での心構えなど、 良いパフォーマンスになるよう、自分なりに工夫している点はある。 …