JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

JOEY CALDERAZZO ジョーイ・カルデラッツォ JOEY CALDERAZZO

THE DRAMATIC PIANIST

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ジョーイ・カルデラッツオ。

このピアニストを知らない人に、とにかく一度、聴いてもらうためには、

一言で、どんな形容をしたらよいのかを考えてみた。

 

最初、「ピアノの化身」という形容を使いたいと思ったが、

ミッシェル・ペトルチアーニに使われている形容のため、あきらめて、

もっとカルデラッツォの本質に触れる端的な表現がないかと

いろいろ考えてみたところ、

「ザ・ドラマチック・ピアニスト」という言葉が、一番ピッタリ来るように感じた。

 

スタイルとしては、わかりやすく言えば、

マッコイ・タイナー、ケニー・カークランドの系譜であり、

モーダルな音数多目のフレーズで、畳み掛けるようなアプローチなのではあるが、

それだけではない深みが、彼のピアノにはある。

 

ライブでは特に、彼のソロは長尺でトコトン弾き尽くすと言った感じなのだが、

弾きまくりで饒舌ながらも、起承転結の構成が素晴らしく、ストーリー性があって、

そして、「ドラマチック」なのである。

ケニー・カークランドの演奏も神がかった時はよく、観客を圧倒するサムシングが

あったが、カルデラッツォもそうした生来のカリスマ的なタレント性がある上に、

非常に冷静な知的な語り手としての「ドラマ性」を備えた側面もあるのである。

 

ぜひ、カルデラッツォは、一度、生で聴いて欲しい。

私は、幸運にもニューヨークの「ジャズ・スタンダード」というジャズクラブで

カルデラッツォのトリオを聴いたことがあるが、

「そこまで、弾かなくとも、もうやめてぇー」とこちらが思うほどの熱演で、

積分のように畳み掛けてくるフレーズの嵐に、圧倒されっぱなしだったのだが、

曲が終わると、言いようのない満足感というかカタルシスを感じているような、

不思議な感覚が会場を覆っている気がしたものである。

 

王道中の王道のジャズ・ピアノを聴かれたいなら、

ぜひ、まずはこのアルバムから、聴いてみてはいかがでしょうか。

 

Joey Calderazzo(p)

John Patitucci(b)

Jeff ”Tain”Watts(ds)

 

1. Oracle, The
2. Toonay
3. Haiku
4. Detonation
5. Time Remembered
6. Catania
7. Slings and Arrows
8. Charmer, The

 

youtube動画はピアノトリオではないですが、ライブ動画を参考までに・・・


The Transform Quintet with Joey Calderazzo - The Oracle (live)