何十年ぶりに聴いてみたら
このアルバムジャケットのアートワークの持つ、
強い訴求力は、あまりにも象徴的でわかりやすいため、
ジャケットを見ただけで、聴いたような感覚に陥り、
まず、トレーに乗せることのないアルバムの一つである。
かつて、LPレコードをレンタルして、カセットに録音して聴いていた時代があった。
このアルバムも、若かりし頃、レコード所有ではなく、カセットに録音したものを、
なんども何度も繰り返して聴いていた記憶がある。
だから、全ての曲について、そのメロディや即興の微細を記憶しているのは、
勿論であるが、曲の順番や曲間の佇まい、流れといった作品全体の移ろいに到るまで、
本当に、微に入り細に入り丁寧に聴いていたんだなぁと、
何十年ぶりに聴いて、改めて認識した。
あまりに心に沁みてくるのである。
チック・コリアの原点が詰まっている。素晴らしいの一言に尽きる。
こうした若い頃、繰り返し聴いた作品というのは、
時折、取り出して聴いて懐かしむものだが、こと、このアルバムに関しては、
冒頭に書いたように、ジャケットを見ただけで、まぁいいやと思ってしまうので、
本当に、数十年ぶりに聴いたわけであるが、
とても新鮮というか、ある意味、自分の音楽遍歴を総括してくれるような力を
持った重要なアルバムであることを思い知らされた。
私は、ハンコックとチック・コリアどちら派?と聴かれたら、
迷わず、ハンコックと言うリスナーであるが、それは、反面、
チック・コリアはキーボーディストとしては外せない存在であることを
認めざるをえないことの裏返しであって、
ある意味チック・コリアファンへの対抗心のようなところもある。
食わず嫌い、知ったかぶり、先入観といった言葉があるが、
やはり、歴史的名盤といわれるものは、素直な気持ちで、無心で聴いてみるものだと
つくづく思った次第です。
- Drums, Percussion – Airto Moreira
- Electric Bass, Double Bass – Stanley Clarke
- Electric Piano – Chick Corea
- Flute, Soprano Saxophone – Joe Farrell
- Producer – Manfred Eicher
- Vocals, Percussion – Flora Purim
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