JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

Wes Montgomery ウェス・モンゴメリー A Day In The Life

時を経て輝く

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時を経て、作品そのものは、変わらないが、

時を経て、それを聴く私は、変わっている。

当たり前の話だが、

昔よく聴いた音源を久しぶりに聴くと、私の前に立ち現れてくる音像によって、

心が高ぶり、強い幸福感を感じる場合もあれば、

その反対でなんの感慨も起こらない場合もある。

 

KUDO様のジャズCDの個人ページブログで紹介のあったこのアルバムを

数十年ぶりに聴いた。正直驚いてしまった。

昔、本当によく聴いたアルバムであることは確かなのだが、

当時、それほど思い入れがあったわけではなかったと思う。

だから、自分にとってそんなに重要な作品だとは全く思っていなかった。

しかし、数十年ぶりに聴き始めたら、

今まで感じたことのない高揚感と幸福感に満たされた。

 

ノスタルジーと言ってしまえば、話は簡単なのだが、

思うに、若い時に繰り返し聴いたこの音源が、

いかに私の脳裏の奥深いところに強い痕跡を残していたのかに改めて気づくとともに、

刺激的で魅力ある音像として、装いを新たにして、私の前に立ち現れてきたのである。

 

例えば、4曲目の「カリフォルニア・ナイツ」という、

マーヴィン・ハムリッシュ作曲の少し、憂いを秘めた曲調に乗って爪弾かれる

ウェスのソロのなんと素晴らしいこと。思わず涙してしまいました。

艶っぽくて、わかりやすくて、可愛らしくて、なんて素晴らしいのでしょう!

 

イージー・リスニングジャズと片付けてしまうには、惜しい気がするのです。

むしろ、ウェスの魅力を、ある意味、最大限引き出しているのではないかと。

ウェスの画期的な奏法を、分かりやすくそれも高度なアレンジで纏め上げた、

クロスオーバジャズの稀有な成功例と言えないでしょうか。

 

全ての曲が素晴らしいが、特に好きなのは、「カリフォルニア・ナイツ」、

「トラスト・イン・ミー」の後半部分、そして、ご機嫌な「ザ・ジョーカー」。

ぜひ多くの人に聴いてほしい、最高のアルバムです。

 

 

Wes Montgomery  /A Day In The Life

Wes Montgomery – guitar
Herbie Hancock – piano
Ron Carter – bass
Grady Tate – drums
Ray Barretto – percussion

 

1. A Day in the Life
2. Watch What Happens
3. When a Man Loves a Woman
4. California Nights
5. Angel
6. Eleanor Rigby
7. Willow Weep for Me
8. Windy
9. Trust in Me
10. The Joker

Recorded June 6, 7, 8 and 26, 1967

 


California Nights