JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

Weather Report ウェザー・リポート 8:30

血湧き肉躍る サビヌル様

お盆に聴きたくなるアルバム。

ウェザー・リポートの「8:30」

 

聴くたびに、血湧き、肉躍る。

嗚呼 サビヌル様! なのである。

こんなにエキサイトな音楽を創造(コントロール)できるザビヌルという存在に、

改めて平伏するものである。

 

いうまでもなく、ザビヌル以外のメンバー一人一人も

筆舌に尽くし難く、最高にヒッピーで、神がかっている。

ショーターの恐るべき楽曲の解釈力(後述します)、

ジャコの超人的なGROOVE感、

そして、ピーター・アースキンの強力かつ繊細なリズムキープ。

一人一人の卓越した才能を、心震えながら堪能できるアルバムでもある。

 

しかしである。

それをコントロールするザビヌルという存在があってこそ、

この稀有な一体感と迸るエネルギーを孕んだサウンドストーリーが、

生まれたのである。

まさにゴッドハンドである。

マイルスやギル・エバンスのオーカーナイズを超えているとさえ思う。

強いて挙げればデューク・エリントンの力量か。

 

もう一人の双頭として、ウェイン・ショーターがいる。

今回、聴き直して改めて感心したのであるが、

ウェインの即興性というのは、紛れもなく即興なのであるが、

非常に楽曲の構成を十分に解釈した上での

パフォーマンスと言わざるを得ない。

事前に相当練って勉強したのか、天性の理解力なのか分からないが・・・。

ショーター作曲の「Sightseeing」における彼のプレイをよく聴いて欲しい。

かなり早いテンポの中で、実に構造的なソロを取っている。

譜面に興すと、多分、バンドアンサンブルとして使えるようなフレーズが

多く散りばめられていることが良く分かる。素晴らしい。

 

そして、最後に、ジャコ。ジャコの最高の演奏の記録がここにある。

先ほどの「Sightseeing」におけるジャコのソロも、恐ろしく素晴らしい。

神がかっている。

 

今の若者が、この音楽を聴いて、どう思うのだろう。

やはり、1970年代後半のフュージョンの代表作という範疇なのだろうか。

確かに今聴くと、サウンドのテイストは古臭く、大仰かもしれない。

でも、ザビヌルのシンセプレイによるオーケストレーション

フェンダーローズによる的確なアクセントとハーモニーの妙を

リズム隊の一体感とグルーブ、

少し勉強ライクに、集中して聴いてご覧なさい。

音楽とはこう創るべきという、ザビヌルの矜恃を是非とも感じ取ってもらいたい。

 

Joe Zawinul (key.synth.perc.vocoder)

Wayne Shorter (ts.ss)

Jaco Pastorius (b.perc.ds)

Peter Erskine (ds)

Erich Zawinul (perc.Disk 2 # 5)

 

Disc 1:
  1. Black Market(Joe Zawinul)
  2. Scarlet Woman(A.Johnson-W.Shorter-J.Zawinul)
  3. Teen Town(Jaco Pastorius)
  4. A Remark You Made(Joe Zawinul)
  5. Slang(Jaco Pastorius)
  6. In a Silent Way(Joe Zawinul)

Disc 2:
  1. Birdland(Joe Zawinul)
  2. Thanks for the Memory(L.Robin-R.Rainger)
  3. Medley: Badia / Boogie Woogie Waltz(Joe Zawinul)
  4. 8:30(Joe Zawinul)
  5. Brown Street(J.Zawinul-W.Shorter)
  6. The Orphan(Joe Zawinul)
  7. Sightseeing(Wayne Shorter)

 

スタジオ録音のD面の最後の曲 Sightseeing(ショーター作曲)

ショーターのソロの構築力はやはり凄いなあと、改めて気付かされた。

後半のジャコの短いソロも超絶かっこいい。


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