「悪を言わざる」・・・ウェインのオカルト性
このジャケットといい、タイトルといい、曲名といい、
何ともミステリアスなアルバムが、ウェインらしくて、個人的には一番好きだ。
ジャケットの右半分にボッーと浮かぶ亡霊写真のような女性は、
当時のショーターの妻であるアイリーンであることを、最近知った。
離婚する直前なのか、後なのかはよく知らないが、何故こんな使い方をするのか?
ショーターの音楽を形容する際によく使われる、
神秘性とか呪術性であるとか、黒魔術的だとかいう言葉通り、
人格的にも、かなりの奇矯性を備えた、いわゆる「変わり者」であることは、
信ぴょう性の高い、ウェインの半生を描いた書籍「フットプリンツ」に詳しい。
チックコリアが、
コメントしている通り、
ウェインには、我々の普通の感覚とは異なる地平、視点から世界を捉える、
彼にしか見えない、彼にしか備わっていない特異なものの見方があるのだろう。
だからこそ、彼の奏でる音楽は、我々にとって常に新鮮で、魅惑的であり、
時に、我々を異次元に浮遊させてくれる麻薬のような中毒性を備えている。
このアルバムの素晴らしさは、一聴してもらえば、説明不要だと思うが、
例えば、ドラムがトニーでなくエルビン、ピアノがマッコイでなく、ハービーという、
マイルスとコルトレーンのバンドメンバーが、入れ子状態で起用されているところが、
非常に泥臭くねちっこい面もありながら、モーダルでサラッとした面もあるといった
両面性を備えているといった魅力を生んでいる。
そして、何よりウェインのソロの鬼カッコイイことと言ったら!
まずは、2曲目の「Fee-Fi-Fo-Fum」のウェインのソロを聴いてくだされ。
「ホゲッ ホゲッ ボッ ボッー ピリャー ホエホエボー・・・・」
たまりません。
Wayne Shorter (ts)
Freddie Hubbard (tp)
Herbie Hancock (pf)
Ron Carter (ba)
Elvin Jones (ds)
1.Witch Hunt
2.Fee-Fi-Fo-Fum
3.Dance Cadaverous
4.Speak No Evil
5.Infant Eyes
6.Wild Flower
1964,12,24 (Blue Note)