JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

Paul Bley with Gary Peacock ポール・ブレイ・ウィズ・ゲーリー・ピーコック With Gary Peacock

ゲーリー・ピーコックという存在

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ゲーリー・ピーコックが逝去したと聞いた。

1935年生まれであるから、85歳で天寿を全うしたということになる。

キース・ジャレットより10歳年上。

ポール・ブレイより3歳年下。

同年代のベーシストでは、

ポール・チェンバース(1935年生)、スコット・ラファロ(1936年生)、

チャーリー・ヘイデン1937年生)がいる。

 

ゲーリーのベースをしっかり聴きたい時は、

何故か、キースのトリオではなく、ブレイのこのアルバムを探すことになる。

以前に紹介した、「BALLADS」とともに、

30代の若かりしエネルギー迸るゲーリーの演奏が好きだ。

より自由で、スポンティニアスなゲーリーのベースの真骨頂を堪能することができる。

 

キースの「スタンダーズ」におけるゲーリーが好きではない、

ということでは、もちろん無い。

あのトリオの疾走感や三人のコンビネーションは、

アノトリオのフォーマットにおけるジャズ史上、

最高のクオリティを持つものであるし、ゲーリーの存在があってこその境地である。

だから、スタンダーズを聴くと、いつも心底、圧倒され、

打ちのめされてしまうのである。隙がなく完璧なのである。

 

でも60年代のポール・ブレイとのインター・プレイを聴くと、

心が解き放たれるような開放感と恍惚感があるのである。

そして、キースとの相性との違いをつくづく感じるのである。

うまく表現できないが、ゲーリーもブレイも出自が同じというか、

やはりオーネット・コールマンの影響があまりに大きく、

まさに対等で、自由な同志という感覚がするのである。

一方、スタンダーズ以前の、ゲーリーのリーダー作で代表作てある

「Tales Of Another」を聴くと、明らかに、リーダー作でありながら、

キースの音楽に合わせに行っているというか、無理しているというか、

そんな感覚がするのである(勿論、すばらしい演奏なのであるが)。

 

ブレイとの共演による諸作の、物哀しい、少し乾いた感じの、

いかにも60年代の雰囲気を纏ったこのアルバムの演奏を聴きながら、

偉大なベーシスト、ゲーリー・ピーコックを偲びたい。

 

track1-5 Recorded April 13, 1963
Paul Bley (p), Gary Peacock (b), Paul Motian (ds)
track6-8 Recorded May 11, 1968
Paul Bley (p), Gary Peacock (b), Billy Elgart (ds)


1. Blues
2. Getting Started
3. When Will the Blues Leave?
4. Long Ago (And Far Away)
5. Moor
6. Gary
7. Big Foot
8. Albert's Love Theme