JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

John Scofield  ジョン・スコフィールド Uncle John's Band 

レジェンドの絶頂期とは?


レジェンドとは「伝説」、「伝説的人物」の意の英語であるが、

日本語的には、各界において「この人を抜きにしては語れない」とか、

「生きた伝説」と言われるような、偉大な功績を上げ、多くの影響

与えた人物を指す意味合いで用いられることが多い。

ジョン・スコフィールドはレジェンドか?」という問い。

自分なら反射的に「そらそうでしょう」と即答してしまうが、

「どういうところが?」と更に問い詰められたら、とまどいながら

「アウトフレーズが特徴のブルージーな奏法は唯一無二。多くのギター小僧に

影響を与えたんじゃない」とでも答えるかもしれない。

でも何か釈然としない。その言質には、確かな客観性に欠けるような気がする。

それでは次に、「ジョンスコの絶頂期はいつ?」という問い。

ジョンスコも相当な多作家で、

エンヤ、グラマヴィジョン、ブルーノート、ヴァーヴ、ECMなど、

様々なレーベルを渡り歩き、

概ねレーベルごとに、アルバムづくりのカラーのようなものはあるが、

彼のプレイ自体は、基本、いつの時代も変わらぬ「ジョンスコ節」なのである。

このことは、ある意味当たり前かもしれない。

ソリストの個性でもある「スタイル」や「音色」といったものは、

そう簡単に変わるものではない。

勿論、演奏技術の熟達、調子のよさといった経年的な変化はあろうものの、

最も大きな変化は、やはり、共演者との総合作用によって生み出される、

グループ全体の音楽性、即ち曲想であり、グルーブ感なのである。

そうであるならば、

「どのグループフォーマットの時に、最もジョンスコの真髄、真価

引き出されていたのか?」

という問いに変えたらどうだろう。

これは、人(ファン)によって、答えは大きく変わる。

個人的には、グラマビジョン時代のキレキレのタイトなビートに乗った

ジョンスコのアウトフレーズや、

ブルーノート時代のジョー・ロバーノと作り出した

緊張と緩和のジョンスコの深刻な表情にこそ、

最もジョンスコに通底する真価である「ブルース」を感じるのだが

繰り返しになるが、これは人によって思い入れが変わるのは当然で

何が正しいということは言い切れないのである。

そして、最近、ECMへの移籍後の作品に、

ジョンスコおじさんが辿り着いた、極めて純粋で枯淡な「ブルース」を

ヒシヒシと感じている。

この本作も、2枚組というある意味、驚きのリリースであり、

マンフレットアイヒャーのレジェンド、ジョンスコに対する

信頼の厚さの現れなんでしょうね。

実は、ジョンスコの絶頂期は今なのかもしれない。

チャールス・ロイドとともに、長いキャリアの中で、

高度な演奏レベルを維持しつつも、

益々円熟化し豊饒になっていくという、稀有なアーティストの一人なのでしょう。

ジョンスコ自身もアーティスト冥利に尽きると実感していることでしょう。

お年寄り万歳!

John Scofield<g>
Vicente Archer<b>
Bill Stewart<ds>

<CD 1>
1. Mr. Tambourine Man(Bob Dylan){09:05}
2. How Deep(John Scofield){05:39}
3. TV Band(John Scofield){07:22}
4. Back In Time(John Scofield){06:49}
5. Budo(Bud Powell, Miles Davis){04:12}
6. Nothing Is Forever(John Scofield){06:40}
7. Old Man(Neil Young){07:02}
<CD 2>
1. The Girlfriend Cord(John Scofield){05:22}
2. Stairway To The Stars(Mitchell Parish, Frank Signorelli, Matt Malneck){06:42}
3. Mo Green(John Scofield){07:19}
4. Mask(John Scofield){06:34}
5. Somewhere(Stephen Sondheim, Leonard Bernstein){06:32}
6. Ray's Idea(Gil Fuller, Raymond Brown){03:56}
7. Uncle John's Band(Robert Hunter, Jerome Garcia){06:27}

 


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