JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

Art Pepper アット・ペーパー + Eleven

マーティ・ペイチの素直さ

アート・ペッパーはどちらかというと、

個人的には、敬遠してきたアーティストである。

絶頂期の「ミーツ・ザ・リズムセクション」や「モダン・アート」を

聴いても、今一つ、感情移入できない。

理由はよくわからない。

端正だし、キレの良いブローイングは確かにスリリングではあるが、

サァッーと通り過ぎていくようで、心に引っ掛からないのである。

 

そんな先入観もあって、

アート・ペッパーのCDをターン・テーブルに乗せることは少ないのであるが、

たまたま、これもいつものことながら、

サブスクのランダム再生で流れてきた、このアルバムに収録されている

「Opus De Funk」に心が留まった。

アート・ペッバーのブローであることは、音色からすぐ分かったのだが、

元々、マーティ・ペイチと絡んだ諸名作を聞いていない自分としては、

何この編成? 何この軽快なアレンジ? 誰これ? え〜〜なかなか良いじゃん!

ジャケットを確認したら、見たことはあるが聴いたことのない、当作品。

 

底抜けに朗らかで、軽快なサウンド

何より、バッフの巨人たちの名曲に敬意を表して、

何の衒いもなく、ストレートに作品の魅力を伝える

マーティ・ペイチの軽妙なアレンジに、単純に乗せられてしまった。

この素っ頓狂とも言えるような素直なアンサンブルに、

ペッバーのブローが実にマッチしている。

マーティ・ペイチ恐るべしである。

 

この作品の録音の頃は、ペッパーは麻薬常習で、仕事もあまりなかったという。

ソロも長く取ることができなかったらしい。

そんなペッパーに、レコーディングの機会を与え、

プロデューサー、レスター・ケーニッヒの素晴らしい企画力と

マーティ・ペイチの軽快なアンサンブルに支えられて、

短い凝縮したソロの中で、ペッパーのブローが冴え渡っている。

 

自分が敬遠して、知らないだけで

聴かずに損している作品は、他にも沢山あるんだろうな。

 

Art Pepper (as,ts,cl)
Pete Candoli (tp)
Jack Sheldon (tp)
Dick Nash (tb)
Bob Enevoldsen (btb,ts)
Vince De Rosa (frh)
Herb Geller (as)
Bill Perkins (ts)
Med Flory (bs)
Russ Freeman (p)
Joe Mondragon (b)
Mel Lewis (ds)

 

Al Porcino (tp)
Bub Shank (as)
Charlie Kennedy (as)
Richie Kamuca (ts)

Recorded 1959.03,05

 

1. Move
2. Groovin' High
3. Opus De Funk
4. Round Midnight
5. Four Brothers
6. Shaw Nuff
7. Bernie's Tune
8. Walkin' Shoes
9. Anthropology
10. Airegin
11. Walkin'
12. Donna Lee

 

軽妙洒脱なペイチのアレンジに、気持ちよさそうにブローするペッパーの

アルトが心地よい「Opus De Funk」


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