富樫✖️チェリー✖️ヘイデン 奇跡の企画
個人的な思入れの強い作品であり、
私にとっての、富樫雅彦の最高傑作である。
「陽光」など、数々の日本におけるジャズの名作をプロデュースした、
キングレコードの高和元彦氏が、パリに富樫雅彦を招いて録音した企画であるが、
この作品は、ドン・チェリーとチャーリー・ヘイデンという人選の素晴らしさ、
そして、録音の良さもさることながら、
何より、三者の奏でる音が、かくあるべきという感じで揺らぎなく、
途轍もなく存在感があり、「soil=土」というタイトル通り、
大地の鼓動を感じる様な、ナチュラルで深遠な響きを持っている。
三人が、どの様にこの作品のレコーディングに臨んだかは、
当時のエピソードも知らないので分からないが、
ドン・チェリーの大地の空をゆるゆると駆け上がる様なラッパの音、
チャーリー・ヘイデンのおおらかで優しさに満ちたベースの音、
そして、冨樫の大地の鼓動の様に重く低く鳴動するパーカッションの音が、
たった一度の邂逅で、これほど濃密に絡み合い、融合し、昇華していく軌跡を
作品として遺せたことは、日本のジャズ界にとって、
大きな遺産であると思わずにはいられない。
Masahiko Togashi (perc)
Don Cherry (tp, cor, b.fl, perc)
Charlie Haden (b)
01. June
02. Words Of Wind - Part 1
03. Oasis
04. Song Of Soil
05. Words Of Wind - Part 2
06. Rain
1979年7月12、13日 パリにて録音
Don Cherry with Masahiko Togashi & Charlie Haden - Song Of Soil