1969年の音
1969年と聞くだけで、何かあると思ってしまう。
ミロスラフ・ビトウスのインフィニット・サーチが1969年10月。
ビッチズ・ブリューが、1969年8月。
そして、このジョーヘン、初のエレクトリック導入作品が、1969年5月。
ハンコック、ディジョネット、
そして、珍しく曲によってはエレベを弾くロン・カーターの
電気化したリズムセクションをバックに、モーダルに歌い上げる
ジョー・ヘンのクールさは格別。
1969年と言う当時の時代の雰囲気が持つ、空気感を
十分に楽しむことのできる作品である。
ジョー・ヘンのサックスの魅力って何なんだろう?
なかなかこの音色とフレーズに近いサックスは他には見当たらず、
オンリーワンであるとは言えると思うのである。
でも、じゃぁ、一体どこがすごいのかと聞かれると困ってしまう。
好きなもんは好きと言うのは簡単だが、やはり少し分析したくなる。
・まず、音色。少し内に篭ったような指向性のある音色。
・非常に細分化され、様式化されたフレーズの積分的な構成(なんのこっちゃ)
→こまごまとした断片的なフレーズを積み上げ、昇華していくような奏法
・高音から低音への落差のあるジェットコースターのようなダイナミクス
・そして、何より、根底にある、黒い、ブルースフィーリング
・最後に、いつまでも詰まった感じで突き抜けない、もどかしさの極み。
噴火しそうで噴火しない、青光りするマグマのような感じと表現したら良いだろうか。
このもどかしい感じのブローこそが、ジョー・ヘンの最大の魅力であり、
聴く者にとってある意味中毒症状を与えるのかも知れない。
あなたは。ジョー・ヘンのサックスのどんなところがお好きですか?
Joe Henderson(ts)
Mike Lawrence(tp)
Herbie Hancock(p)
Ron Carter(b)
Jack DeJohnette(ds)
1. Black Narcissus
2. Afro-Centric
3. Opus One-Point-Five
4. Isotope
5. Power to the People
6. Lazy Afternoon
7. Foresight and Afterthought