JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

今週の厳選 1枚

Chris Potter  クリス・ポッター Eagles Point

ジャケットが意味深! クリス・ポーターの新作を聴く ポッター、メルドー、パティトゥッチ、ブレイドの名が記された アルバムアートワークがまず意味深。 赤の下地の中央付近に、 細やかな無数の鳥の羽ばたくカラフルなシルエットに刻まれた 四人の赤字のク…

小曽根真 Trinfinity

小曽根真について考える 小曽根真は、既に、かなり前から、今や日本のジャズミュージシャンの精神的な支柱となっている感がある。彼のプレイの卓越さだけでなく、いろんな面で配慮ができ、そのポジティブで開かれた印象の人間性からも絶大な信頼を得ているの…

Jacob Collier ジェイコブ・コリアー Djesse Vol. 4

ジェイコブ・コリアーの「わかりすく、難しことをやる」 このジェイコブ・コリアーの Djesseシリーズ最後の集大成的アルバムを聴いて、 久しぶりに若かりし頃の音楽的戦慄の感覚が蘇ってきた。 「戦慄」を辞書で引くと、「怖くて震えること。おののくこと」…

TOM OLLENDORFF  トム・オレンドルフ  A SONG FOR YOU

初体験!Tom Ollendorff 遅ればせながら、 最近知ったギタリスト。 いやー最初の一曲目から、私好みの音色と、牧歌感の強い曲調に、 一瞬で心を捉えられた。 きっちり伝統を踏まえた上でのモダンなアプローチが、聴き易くて、 自然に、トリオでの対話に没入…

Kurt Rosenwinkel & Geri Allen カート・ローゼンウィンケル、ジェリ・アレン Lovesome Thing

奥の深いカート 〜魅力尽きることなく〜 やはり、カートのギターは深いなあ〜 年末に、これまた心揺さぶられるアルバムに出会うことができた。 心囚われ、没入感半端ない、今年のベストアルバムの一つである。 録音されたのは2012年というから、10年以…

John Scofield  ジョン・スコフィールド Uncle John's Band 

レジェンドの絶頂期とは? レジェンドとは「伝説」、「伝説的人物」の意の英語であるが、 日本語的には、各界において「この人を抜きにしては語れない」とか、 「生きた伝説」と言われるような、偉大な功績を上げ、多くの影響を 与えた人物を指す意味合いで…

Pat Metheny  パット・メセニー Dream Box

この感覚はやはり愛おしい この感覚は、やはり愛おしい。 メセニーの音色は、自分にとって、感傷であり、希望であり、慰めである。 このアルバムのメセニーの朴訥な語り口というか呟きのようなものは、 久々に、私の心の奥深いところまで沁み込んでくるよう…

Rosa Passos & Lula Galvão ホーザ・パッソス & ルーラ・ガルヴァォン

二人の語り掛けてくる音。感涙。 余りに素晴らしくて、余りに美しくて、余りに切なくて・・・・ 知らなかった。 ルーラ・ガルヴァォンというギタリスト。 もう完全にノックアウトしてしまいました。 今のところ、私の今年のベストアルバムになりました。 ホ…

LAUFEY レイヴェイ Bewitched

有無を言わせぬ説得力 まずは、タイトル曲「Bewitched」を聴いてみてください。 容姿からは少しかけ離れた、中低域に安定感のある、 非常に深みのある、のびやかな声質の魅力にまずやられる。 久々の大物感を備えたシンガーの誕生である。 前作の『Everythin…

Banksia Trio バンクシア・トリオ(須川崇志, 林正樹, 石若駿) MASKS

気骨の結晶 もう、聴く前から期待できるのであるが、 実際、聴いてしまうと、遥かに期待を上回ってくる。 このトリオの前作「Time Remembered、も衝撃的で、 日本ジャズ界に新たな風が生まれたと興奮したものだが、 今回の作品は、トリオとしての三者のイン…

Kurt Rosenwinkel カート・ローゼンウィンケル Undercover: Live at the Village Vanguard

ライブ盤にみるカート カートのアルバムを全て聴いているわけではないが、 ビレッジバンガートでのライブ盤ということでは、 かつて「The Remedy」というアルバムに次いで、 2回目ということなのではないかと思う。 メンバー構成もまったく違っていたと思う…

Meshell Ndegeocello ミシェル・ンデゲオチェロ The Omnichord Real Book

ありがたや ミシェル・ンデゲオチェロの新作である。 聴き流すのも勿体なく、思ってしまう。 ブルーノートからの作品だからといって、 ジャズの範疇に収まるようなものでも当然ない。 心して聴きたい。 彼女のこれまでの多様なフェーズの集大成のような作品…

Enrico Pieranunzi  エンリコ・ピエラヌンツィ  Chet Remembered

懐かしさと、温かさ。 エンリコ・ピエラヌンツィのチェットへの想いが 詰まったアルバムである。 大好きなアルバムである「Soft Journey」でのナンバーの多くを採用して、 今回はビックバンドを従え、何とも粋な仕上がりになっている。 エンリコ・ピエラヌン…

平倉初音  Hatsune Hirakura Trio  Wheel of Time

ライブで聴くと幸せになるピアニスト 実は、平倉初音のライブを生で聴いたことはない。 しかし、いくつかアップされている動画の演奏を聴くたびに、 いいなぁ、上手いなぁと、そして、 素晴らしいピアニスト、アーティストだなあと思うのである。 ジャズとい…

Louis Cole  ルイス・コール Quality Over Opinion

恐るべき才能 超人 ルイス・コール 世の中も捨てたものでない。 我々の「想像」を超える超「創造」が今この瞬間にも生まれていることを つくづく感じる。 正直、このルイス・コールというアーティストはつい最近まで、 全く知らなかったのだが、 以前紹介し…

Mark Guiliana マーク・ジュリアナ Mischief

いたずらごころ 先にリリースされた「the sound of listening」と 同じメンバー、スタジオで録音された、第二弾的作品。 ジャケットも引き継いでいて、秀逸なデザイン。 このアルバムは、聴き始めた最初は、前作と比較して、 なんだか落ち着いて音楽に浸るこ…

Bobo Stenson ボボ・ステンソン Sphere

「過ち」と「過剰」 ボボ・ステンソンの新作である。 孤高のピアノトリオ。 いつも襟を正して聴かなくてはと思わせる。 聴くには気構えが求められるが、新作が出るたびに、 どんな音か聴いてみたくなる。 今回のアルバムは、かなり実験的で思索的なアプロー…

Mark Guiliana  マーク・ジュリアナ The Sound of Listening

新たな地平の提示 「新たな地平の提示」と 「現在(いま)の地に足の着いた、端正なエキスプレッション」が 交互に配置されているという構成が、 この作品にかけるマーク・ジュリアナのメッセージ性の強さを裏付ける。 個人的には、「新たな地平の提示」の側…

Sunaga t experience 須永辰緒 Re Blue

心動かされる 丸ごとカバー Re Blue これも、ふとアップル・ミュージックで聴いてみたら、 虜になってしまった一枚。 須永辰緒という名前も、 ボーカルのJ.Lamottaすずめ という変な名前のシンガーも 全く聴いたことがないわけだが、 このジョニー・ミッチェ…

Charles Lloyd – Trios  チャールス・ロイド   Chapel

やっぱり聴いてしまう 興味津々のロイドのプロジェクト、TORIOS。 その第一弾が、ビル・フリーゼルとトーマス・モーガンとの組み合わせ。 もう、最初から、人選だけで聴きたいと思うし、 聴き慣れてからも、つい、聴いてしまうし、 聴くたびに、ハマっ…

Jesper Bodilsen, Morten Lund & Henrik Gunde『Moods』

素直、丁寧、節度 ステファノ・ボラーニとの作品で、いいなあと思っていた、 デンマークのベーシスト、イェスパー・ボディルセン。 ヘンリック・グンデと言うピアニストを従えたピアノトリオ作品。 北欧のテイストという形容詞は、いつもあまり好きになれな…

Megumi Yonezawa Trio 米澤めぐみ  Resonance

抑制美 初めて聴く、米澤めぐみのピアノである。 ひたすら、淡々と、抑揚も抑え気味で、過度に盛り上げることもない。 延々とたゆたうように、むしろ朴訥とした印象で、修行僧のように、 無表情で通り抜ける感覚が心地よい。 華美で、ダイナミズムに満ち溢れ…

DOMi & JD BECK ドミ& JDベック NOT TiGHT

ワクワクする! 「軽さ」と「確かさ」 あまりこれまで聴いたことのないタイプの音楽でも わたしが、惹きこまれ、ワクワクしてしまう時に感ずるときの傾向として、 いつも「軽さ」と「確かさ」の感覚というものがある。 「確かさ」とは、 音楽の基本やテクニ…

Joel Ross ジョエル・ロス The Parable of the Poet

優しさと、大らかさに満ちた音楽。傑作である! こういう音楽を聴くと、 音楽ってすごいなぁと今更ながら、感慨に浸ってしまう。 じわーっと心の奥に滑り込んでいくような感覚。 傑作であると思う。 個々のメンバーの技量もさることながら、 多分、入念な構…

Melissa Aldana メリッサ・アルダナ 12 Stars

メリッサ・アルダナのブルーノートデビュー作 メリッサ・アルダナの技量と可能性を知ることのできる傑作である。 インプロバイザーとしての技量も素晴らしいが、 音楽全体の構成、展開力を備えたオーガナイザーとしての可能性感を感じる。 演奏にも参加して…

魚返 明未 & 井上 銘

心に沁みる音色 おがえりあみ と いのうえめい 名前もいいが、音楽もいい。 井上銘のギターの魅力は、かねがね、書き留めておきたかった。 まずは、彼の奏でるギターの音色の魅力である。 非常にシンプルでありながら、艶があって、奥行きが深くて、心に沁み…

Manuel Linhares マヌエル・リニャレス Suspenso

ラージ・アンサンブルの魅力 また、素晴らしいミナス・サウンドに出会った。 アントニオ・ロウレイロのプロデュースだけあって、期待が高まったが、 期待以上の素晴らしいアルバムに仕上がっている。 冒頭曲のMarcha Lenta を聴いただけでも、背筋に戦慄が走…

Kit Downes キット・ダウナーズ Vermillion

美しいピアノトリオが、またひとつ 初物である。 キット・ダウンズというイギリスのピアニスト。 北欧やイタリアなど、本当に多くの耽美的なアプローチが売り物の ピアニストが数多いて、少々、辟易としている状況の中、 三者のインタープレイが構造的で、奥…

Scott Kinsey and Mer Sal スコット・キンゼイ&メル・サル Adjustments  

ザビヌル遺伝子 2022年の最初に紹介するのは、 スコット・キンゼイの新作。 それもシンガーソング・ライターのメル・サルとの共演作ということで、 果たして、どんなテイストのザビヌルミュージックが聴けるか、 年初めからワクワクして聴いた。 私同様…

Chaca Khan チャカ・カーン/Like A Sugar       Khruangbin クルアンビン /NPR Music Tiny Desk Concert Moonchild ムーン・チャイルド/NPR Music Tiny Desk Concert

番外編 思わず聴き惚れた音楽選 しあわせなことに、現在の私たちは、 気軽に、簡単に、様々な音楽に触れる環境の中にある。 そのことが、却って不幸だと、昔を懐かしむ方もいるが、 溢れる数多の音楽の中から、自分の直感と好奇心を持って、 これぞという音…