JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

Marcin Wasilewski Trio with Joe Lovano マルチン・ボシレフスキ Arctic Riff

マルチン・ボシレフスキ・トリオで聴くジョー・ロバーノという贅沢

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「マルチン・ボシレフスキ・トリオで聴きたい、ワン・ホーンは誰か?」

 

と聞かれたら、誰をリクエストするであろうか。

このアルバム発売の情報を知った時に、ジョー・ロバーノとの共演に

「そうか!」と心が浮き立ったのを覚えている。

ただでさえ、大好きなマルチンのトリオに、ジョー・ロバーノが

黄昏たテナーを載せてくるとなると、もうなんとなく、

音像が想像できるような気がしたのである。

 

しかし、まだ、全曲聴けていないのであるが、

1曲目の「Glimmer Of Hope」と2曲目の「Vashkar」を聴いただけで、

多分、自分にとって近年のベストアルバムの一つになるのは間違いない

のではないかと思うような出来である。

トリオがメインとして位置づけられたアルバムでありながら、

ロバーノの、ロバーノカルテットの音楽になっている。

よくあるセッション的な、「withロバーノ」といった軽いノリではないのである。

ロバーノが、このリズムセクションによって、明らかに、

鼓舞されて、最高のパフォーマンスを残している。

まるで、長年連れ添ったメンバーのように、

至極のインタープレイは、聴くものの心を完全に溶かしてしまう。

 

ロバーノのサックスが好きな私としては、

このメンバーで、「ジョー・ロバーノカルテット」を、

是非ECMでというレーベルで、何作か聴きたいものである。

なんと贅沢な!

早く全曲聴きたい!

 

Marcin Wasilewski (p)、

Slawomir Kurkiewicz (double-b)、

Michal Miskiewicz (ds)、

Joe Lovano (ts)

 

01. Glimmer Of Hope
02. Vashkar
03. Cadenza
04. Fading Sorrow
05. Arco
06. Stray Cat Walk
07. L'Amour Fou
08. A Glimpse
09. Vashkar (var.)
10. On The Other Side
11. Old Hat

 

2019年8月

Pernes-les FontainesのStudios La Buissonne録音

 


Joe Lovano, Marcin Wasilewski Trio - Glimmer Of Hope (Teaser)

 

 

Sonny Rollins ソニー・ロリンズ Alfie

なんて切ない! ロリンズのバラード

 

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泣けてくるのです。

2曲目の「He's Younger Than You」。

 

中年男の悲哀を語った、映画の主題に沿った悲しい気分の曲なのではあるが、

そのことを離れても、この当時のロリンズの

「寂しさ」「焦燥感」「切なさ」「もどかしさ」が、

そのままストーレートに伝わってきて、思わず泣けてくるのです。

オリバー・ネルソン編曲のブラスサウンドや、

ロジャー・ケラウェイのとてもセンスの良いおしゃれなピアノも

その悲しみの気分を慰めるかのように絡んでくる。

ロリンズ自身もこのバラードの出来には、満足できたと思ったのか、

最後の一音を吹き終わった後に、肉声で「ウゥーン」と、

満足そうに唸っているのである。

 

確かに王道を突っ走っていた、ロリンズの輝かしい作品群も良いが、

私はRCA、インパルス時代の、少し翳りがありながら、奔放さが増した

ロリンズのブローが堪らなく好きである。

特に、バラード・ブレイは、心の底から揺さぶられるような衝撃がある。

 

ぜひ、5曲目の「On Impulse」を聴いてくだされ。

このワルツの悲しいトーンといったら!

何とせつない演奏なのでしょう。

明るく振舞いながら、悲しい音楽となっている稀有な例である。


Alto Saxophone – Phil Woods
Baritone Saxophone – Danny Bank
Bass – Walter Booker
Drums – Frank Dunlop
Guitar – Kenny Burrell
Piano – Roger Kellaway
Tenor Saxophone – Bob Ashton
Tenor Saxophone, Composed By – Sonny Rollins
Trombone – J.J. Johnson, Jimmy Cleveland

Producer – Bob Thiele
Arranged By, Conductor – Oliver Nelson

 

1 Alfie's Theme 10:25
2 He's Younger Than You 5:07
3 Street Runner With Child 4:00
4 Transition Theme For Minor Blues Or Little Malcolm Loves His Dad 5:50
5 On Impulse 5:07
6 Alfie's Theme Differently 3:44

1966年1月26日録音

 


Sonny Rollins - He's Younger Than You Are

 

 


On Impulse

 

JON BALKE ヨン・バルケ Discourses

ピアノの中にあるサウンドスケープ

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サウンドスケープ(音風景)を背景に聞こえるピアノというより、

ピアノの中に潜むサウンドスケープ(音風景)という気がする。

サウンドスケープの取り込み方が絶妙で、素晴らしい。

 

ノルウェーのピアニスト、ヨン・バルケによるピアノソロの新作である。

 

ECMにおけるピアニスト群の中でも、

ただただ、耽美的過ぎるものであったり、

ただただ、概念ぽくって重々しいばかりのものであったり・・・・など、

どうしても好きになれないピアニストも少なからずいる。

そんな中で、ヨン・バルケの哲学的で控えめ、静かな語り口には、

いつも感心させられてしまう。

1992年に制作された「Nonsentration」という作品が大好きなのだが、

この頃から既に、サウンドスケープとしてのオスロ13のアンサンブル自体が、

ヨン・バルケのピアノの中に取り込まれているのかもしれない。

 

ヨン・バルケという少々、おどろおどろしい名前に惑わされることなく、

是非、多くの皆さんに聴いていただきたい。

最後まで一気に聴けてしまう、上質なエキセントリックさがあるのです。

 

Jon Balke(piano, sound processing)

 

1 The self and The opposition
2 The facilitator
3 The container
4 The assumptions
5 The certainties
6 The suspension
7 The polarisation
8 The second argument
9 The why
10 The deliberation
11 The first argument
12 The how
13 The mutuality
14 The first afterthought
15 The second afterthought
16 The third afterthought

Release date: 15.05.2020
ECM 2648

 


the why

Wether Report ウェザー・リポート/Procession

 

ザビヌルが進もうとした世界

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アルバムタイトル「プロセッション」。意味深である。

どんな世界に向かっている、向かおうとしている「行進」なのだろうか。

ジャケットアルバムも、そうした想像を掻き立てる素晴らしい出来である。

 

このアルバムから、リズムセクションが、

ビーター・アースキンからオマー・ハキムへ

ジャコ・パストリアスからビクター・ベイリーへと変わった。

ここに至って、ザビヌルが辺境者としての本領を発揮できる下地が整ったと感じる。

ウェザー・リポートというより、ザビヌルのバンドになったというか・・・。

 

このメンバーによる三作、つまり本作と「ドミノ・セオリー」、

「スポーティン・ライフ」は、ザビヌルが自己表現という意味において、

自分のやりたいことを、完全に自分のコントロール下で成し得ることができた

作品群であると思う。

だから、ザビヌルの音楽性があまり性に合わない人は、

ウェザーリポートといえば、やはりジャコ、アースキン、ショーターの

黄金時代までだとする人が多いような気もする。

しかし、トンデモナイ話である。

ザビヌル好きの私としては、ウェザー・リポートという音楽の核を、

ザビヌルの「辺境性」と「執着性」が作用した「創造性」と定義しており、

この三作をもって、ウェザー・リポートがその極みに達したというべきだと

思うのである。

 

そうした意味でも、このアルバムタイトル「プロセッション」=「行進」は、

ザビヌルの新たな出発を象徴しているし、その意気込みを強く感じる。

また、ビクター・ベイリーは若くして逝去したが、オマー・ハキムとともに、

ザビヌルの先進性と独創性を支えた強力なリズムセクションとして、

もっともっと評価されていいのではないかと思う。

 

 

Wether Report /Procession

Joe Zawinul / keyboards, synths, producer
Wayne Shorter / soprano & tenor saxophones
Victor Bailey / bass
Omar Hakim / drums, electric guitar, vocals
José Rossy / percussion, concertina
With:
- The Manhattan Transfer (Cheryl Bentyne, Tim Hauser, Alan Paul, Janis Seigel) / vocals (4)

1. Procession (8:41)
2. Plaza Real (5:30)
3. Two Lines (7:42)
4. Where the Moon Goes (7:49)
5. The Well (Live *) (4:00)
6. Molasses Run (5:50)

* Concert improvisation at Nagoya, Japan on June 3, 1981.

 


Weather Report - Procession Live 1983

 

 

 

LINDSEY WEBSTER リンジー・ウェブスター LOVE INSIDE

シルキーでファンキー! こんな歌声を待ってました。

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リンジー・ウェブスター

スムース・ジャズの分類に入るのかなぁ、でも、もっと活躍の場を広げられる

可能性を秘めた歌声の持ち主であると思う。

 

最近、歌モノを聴く機会が増えてきている。

ボーカルは、ます間違いなく、最初に聴いた第一印象で、好き嫌いが決まってしまう。

そういう意味で、歌モノは怖い。

いくら楽曲やサイドメンが良くても、歌声のフィーリングがフィットしないと

聴く気が失せる。

 

私の場合、キャロル・キングニーナ・シモンエイミー・ワインハウス

アリッサ・グラハム、マリーナ・ショウロバータ・フラックなどなど、

やはり一聴しただけで、虜になってしまう声の相性というものはあるのでしょう。

 

リンジーは、声がシルキーなうえ、R&Bに根ざした、

素晴らしいリズム感と歌唱力があり、久々に惹き込まれた一人。

よくある、少し売れてきたらスタンダード・ジャズもやってみるといった

安易な路線ではなく、彼女の声質を生かした、R&BやAORの路線で、

革新的な活動を期待したい。

 

LINDSEY WEBSTER  / A Woman Like Me

1. Love Inside

2. A Love Before

3. Bad Grammar (Me & You)

4. Free To Be Me (feat. Norman Brown)

5. Dream

6. Don't Give Up On Me

7. One Last Time

8. Even If He Lied

9. Walk Away

10. It's Not You It's Me (feat. Rick Braun)

11. Opportunity 2.0

12. By My Side

 


Lindsey Webster - Love Inside

CECIL TAYLOR セシル・テイラー Solo

セシル・テイラーという革新

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セシル・テイラーは、2013年、

「ピアノによる即興演奏の可能性を極限まで追求した革新的なジャズ・ミュージシャ

ン」として第29回(2013)京都賞思想・芸術部門を受賞している。

この賞は、「先端技術部門」「基礎・科学部門」「思想・芸術部門」の3部門があり、

各部門から1名ずつ選ばれるのだが、日本発の最も権威ある国際賞である。

過去、音楽の分野からは、ブーレーズジョン・ケージメシアンなど錚々たる

アーティストが名を連ねているが、ジャズ界からはセシル・テイラーだけである。

 

まあ、そんな権威的な賞のことは抜きにしても、

自分が学生時代、フリー・ジャズこそ我が命としていた一時期、傾倒していた一枚。

1973年5月29日イイノ・ホールでの録音された本作は、

ピアノという楽器のダイナミズムとセシルの冷静な音楽構成力を十分に

味わうことのできる、傑作である。

 

大学の軽音の地下にある練習場で、先輩に隠れて、ベースを弾く友達と、

オトオドしながらも「フリージャズ演ろうぜ」とセッションした日を思い出す。

何も知らないくせに、とにかくフリージャズという言葉の持つ魅力だけで、

何も考えずに、ピアノを弾きまくって、一人悦に入っていたわけで、案の定、

当時のカセットでの録音を聴くと、完全に自己満足で、聴くに堪えない。

 

セシル・テイラーの音楽は、確かに革新的な即興演奏の手法を開拓したわけだが、

即興でありながら、しっかり伝統に根ざし、計算し推敲された構成があるからこそ、

作品として、完成度が高く訴求力を持っているのだと思う。

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 ↑音符ではなくアルファベットのみを記した自筆の譜面。

 

1. コーラル・オブ・ヴォイス (エリージョン)
2. ロノ
3. アサック・イン・アメ
4. インデント

 


Cecil Taylor ~ Lono ~ Solo

 

 

小曽根真 featuring No Name Horses アンティル・ウィ・ヴァニッシュ 15×15

真のエンタテイナー

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小曽根真のライブは楽しい。

観客を楽しませ、和ませ、自然に聴衆の気分を高揚させてくれる

稀有なセンスを持った、真のエンタテイナーだと思う。

 

そして、このNo Name Horsesというビックバンドの活動は、

当の本人はどう思っているかは知らないが、

小曽根真というアーティストがこれまで培ってきた感性と経験をベースに、

それぞれ個性のある一流アーテイストのベクトルを、

魅力あるグループエキスプレッションとして見事に昇華させた軌跡であると思う。

 

今回の記念すべきこのアルバムの印象としては、

楽しそう、ワクワクしていそうということ。

その象徴の一つが、若きギタリスト山岸竜之介の起用。

スコット・ヘンダーソンにも似たイキのいい粘りのあるギターサウンド

小曽根真のやりたかったことの片鱗が見えて、面白い。

EL&Pのレコードを小学生の時から聴いていたんですからね。

 

ただ、個人的には、ラストの「タイム・スレッド」のアンサンブルの美しさに

やられてしまうのです。

コロナが終焉して、早くこのビックバンドのライブが見たいものです。

 

小曽根真(pf, org, leader)
エリック宮城(tp、flh)、木幡光邦(tp, flh)、奥村晶(tp, flh)、岡崎好朗(tp, flh)、
中川英二郎(tb)、マーシャル・ギルクス(tb)、山城純子(b-tb)、近藤和彦(as, ss, fl)、
池田篤(as, fl)、三木俊雄(ts)、岡崎正典(ts, cl)、岩持芳宏(bs, bcl)、中村健吾(b)、

高橋信之介(ds)、山岸竜之介(g)

 

1 ユーアー・マイ・ヘヴン、ユーアー・マイ・ヘル 

2 キャロッツ・オア・ブレッド?

3 アイ・トライ・トゥ・イマジン 

4 レインボー

5 カメリア

6 12カラーズ

7 リトル・バード・ブルース

8 アンティル・ウィ・ヴァニッシュ

9 タイム・スレッド

2019/12/04 録音

 


小曽根真featuring No Name Horses "Until We Vanish " 15×15