JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

John Scofield ジョン・スコフィールド Who's Who

ジョン・スコ節は昔から変わらない

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学生時代、マニアックなギタリスト達の羨望の的であった、ジョン・スコ。

当時、変態フレーズ、アウトフレーズの代名詞の様に言われていた、

ジョン・スコも、今となっては、もはや定番になってしまった。

 

昔、ホントに何度も聴いたこのアルバムを改めて聴いた感想を要約すると、

 ○ジョン・スコは基本、昔も今も変わらないなぁ

 ○これが1979年のリリースとは!今なお、新鮮で斬新、お洒落。

特に、アンソニー・ジャクソンとスティーブ・ジョーダンとのコンビネーションは、

今聴いても、これぞ、ジョン・スコと言える魅力を引き出している。

レイジーで、ブルージーなジョン・スコのギターを、

二人のセンシティブでタイトなリズムセクションが、引き立てている構図。

 

特に、表題曲の「Who's Who? 」のカッコイイことと言ったら!

アンソニー・ジャクソンのタイトなベース・フレーズに乗って、

気持ち良く滑っていく、ジョン・スコの流暢なブルースフレーズ。

シンプルなフュージョンではあるかも知れないが、至極の世界である。

 

初期ジョン・スコの中で一番好きなアルバムです。

ケニー・カークランドも相変わらず・・・・(ニンマリ)。

 

John Scofield(G)

Kenny Kirkland(P on 1-2, 4-6),

Anthony Jackson(B on 1-2, 4-5),

Steve Jordan(Ds on 1-2, 4-5),

Sammy Figueroa(Per on 1-2, 4-5),

Billy Hart(Ds on 3, 6),

Eddie Gomez(B on 3, 6),

David Liebman(Ss, Ts on 3, 6)

Released 1979. 

 

1. Looks Like Meringue

2. Cassidae

3. The Beatles

4. Spoons

5. Who's Who?

6. How The West Was Won

 

表題曲のWho's Who?  

Anthony JacksonとSteve Jordanのプロの妙技にご注目を!


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Jon Secada & Gonzalo Rubalcaba ジョン・セダカ&ゴンサロ・ルバルカバ Solos

孤と孤の対峙 Solos

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こんな凄いアルバムが1992年に生まれていたとは驚きである。

まだ、ゴンサロが29歳の若さの時の作品である。

 

明らかに、アルバムジャケットの構図は、

トニー・ベネットビル・エバンスのあの名作デュオ・アルバムを意識している。

 

恥ずかしながら、このジョン・セダカというミュージシャンを、

これまで全く知らなかった。

グラミー賞を2回獲得し、2.000万枚のアルバムのセールスを記録していると言う

キューバ出身のシンガーソングライターなのだそうだ。

ジョン・セダカの歌声を聴いた時、非常にキューバ音楽のフレーバーで、

ねちっこいような声に、最初は、少しの抵抗を感じたのであるが、

聴き込むにつれ、不思議にこのアクの強さが、癖になり、身に沁みてきたのである。

 

それは、何よりジョン・セダカの歌声が、ゴンサロとの緊張感あるやり取りにより、

引き立っていることは言うまでもない。

まさに、タイトル「Solos」が表しているように、

それぞれが、自立し、完成された「個」と「個」の、

妥協なき「せめぎ合い」であり、「交歓」であり、「信頼」である。

 

トニー・ベネットビル・エバンスのデュオ作品を意識したとは思われるが、

トニー・ベネットーとエバンスの場合、

お互いの完成された音楽性に、歩み寄る感覚がある様な気がするのに対して、

この作品の対峙は、もっと対等な立場で、「孤」と「孤」が遠慮せず、

自己主張してぶつかり合ったような、凄まじさと緊張感を感じる。

 

ゴンサロのピアノは、いつも畏れ多くて、あまり聴かない方ではあるのだが、

非常に硬質で、正確無比なフィンガリングとリズムに裏つげられた叙情性は、

この作品にも、遺憾無く発揮されている。

誠に素晴らしいピアニズムである。改めて評価したい。

 

二度と再演できない、二人の一回性の交歓の軌跡。

久しぶりに、ピアノとボーカルのデュオの素晴らしさを、

思う存分楽しむことができた。

今年聴いたアルバムの中で、今のところ、一番衝撃を受けた作品である。

 

Jon Secada(vo)

Gonzalo Rubalcaba(p)

May 5, 1992

 

01.  Rosa Mustia
02. Contigo en la Distancia
03. Soy Tan Feliz
04. Me Faltabas Tú
05. Tú Me Acostumbraste
06. Dime Que Me Amas
07. Longina
08. Delirio
09. La Tarde
10. Hasta Mañana Vida Mía

 

あまりの素晴らしさに、言葉を失った冒頭曲「Rosa Mustia」


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MILT JACKSON  ミルト・ジャクソン Opus De Jazz

思う存分ミルト・ジャクソン

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ミルト・ジャクソンを聴きたくなると、
やはりこのアルバムに手が伸びる。
 
誠に真っ当で、お洒落で、小粋なアンサンブルである。
何しろ、人選が的を得ていて成功している。
限りなくブリリアントなミルトと
修行僧のようなハンク・ジョーンズの対比に、
流麗なメロディーメーカー、フランク・ウェスが華を添える。
 
1曲目なんか、
これでもかと言うほど、各人、ソロを取っている。
何回ソロを回すねん!とツッコミたくなるほど、思う存分ソロをとっている。
でも、そのソロが押し並べて、秀逸で、少しも飽きがこない。
 
ハンク・ジョーンズというピアニストは、
ホントにすごいピアニストだと思うのである。
外連味のない、真っ当なピアノに徹する彼のブロフェッショナルな姿勢を
プロのミュージシャンたちは、もっと見習わなければいけないと思う。
当たり前のようにサラーっと弾いて、確かに地味ではあるが、
伝統工芸職人の無駄のない鮮やかな手技と言ったら良いであろうか、
よく聴くと、やはりすごいピアノなのである。
こうしたスタイルを一生貫き通した、ハンク・ジョーンズの軌跡は、
ジャズ界の宝、伝説と言ってもよいと思うのである。
 
この作品のミルトのプレイは、いつ聴いても、ファンキーで、
音もブリリアントで、つい、聴き惚れてしまう。
個人的な思入れかも知れないが、
ミルトのヴィブラフォンは、50年代の音とフレーズが、
やはり一番、しっとりしていて、間の取り方にも余裕があって、初々しい。
 
「オパス・デ・ジャズ」と言うタイトル通り、
「ジャズとはこうあるべき!」を、
そして、ジャズの醍醐味を、皮膚感覚で感じさてくれる、
素晴らしいアルバムなのである。
 
Frank Wess(fl)
Eddie Jones(b)
1955 10 28 RVG
 
1.Opus De Funk
2.Opus Pocus
3,You Leave Me Breathless
4.Opus And Interlude
 
 
 
 

Hironori Momoi 桃井裕範 Flora and Fauna

羨ましい才能

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 オフィシャルサイトのプロフィールを読んで貰えばわかるけれども、

そんな情報を知らず、この新作「Flora and Fauna」を聴いて、

あー音楽は進化しているんだなぁと、羨ましく、妬ましい気分にさえなった。

 

プロフィールの紹介に、Drummer/Composer/Producerとある。

ドラマーというよりは、むしろプロデューサー、作曲家としての才能の面白さ。

ジャズの範疇に止まらない音楽ではあるが、極めてジャズっぽい。

どの曲も、ジャズを感じさせてくれる、自由とスペースに溢れた色っぽさがある。

正直、聴き惚れてしまった。

とてもイイ感じなのである。

 

こういう、可能性を広げてくれるような、新しい音楽を聴くと、

時代に取り残されたようで、寂しい気持ちにもなるが、

やはりワクワクするし、嬉しくなる。

 

最近、アルバムの作り方が、

様々なゲストを呼んで、ゲストの個性を生かしながら、

ホストの多様な、音楽的アプローチを綴っていくと言った、

作品制作の手法が増えてきているように思うが、

この作品も、その手法が、ホストである桃井の才能の素晴らしさと多様さを

十分に引き出すことに成功している。

曲一つ一つの表情が、違うのだが、トータルとして非常に満足度の高い、

全体性を獲得していると言うか・・・

非常にセンシティブで、敏感で、気負いのない音づくりは、

本当に心地よく、時の流れるままに、聴かせてしまう力がある。

 

タイトルの「Flora and Fauna」 は、植物相と動物相と言う意味なのか?

確かに、ホスト=植物的な地に根の生えた静的でステディな領分と、

    ゲスト=動物的な気ままで攻撃性のある動的でスポンティニアスな領分とが、

上手く共存、融合、触発し合っていような気がする。

 

ぜひ、多くの人に知ってもらいたい、日本の羨ましい才能である。

 

 

01. Into the Stratosphere feat. Nir Felder
02. Skin Deep feat. 佐瀬悠輔
03. Fog feat. Gotch
04. Tail of a Comet feat. Gilad Hekselman
05. Gray Rhino feat. 角田隆太 (from モノンクル)
06. Touches feat. なみちえ and Potomelli
07. IHDS
08. Bury the Hatchet feat. 松丸契
09. Gemini feat. Alan Kwan
10. Water Temple feat. Gold Mountain
11. Regression feat. MELRAW
12. Through the Seasons
13. Hands feat.ミゾベリョウ (from odol)

 

 


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Mccoy tyner マッコイ・タイナー Real Mccoy

孤高の人

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マッコイ・タイナーについて書きたいと思う。

この1967年に録音された、ブルーノートレコード移籍の第一段となった、

本アルバムは、彼のスタイルがある意味完成された金字塔であるばかりでなく、

人選、選曲、アルバムジャケットなど、どれをとっても名盤中の名盤であり、

彼の最高傑作である。

 

マッコイ・タイナーは根っからのピアノのイノベーターであり、即興家であるが、

オーガナイザーとしては、ハンコックやチック・コリアらのようなバイタリティを

持ち合わせていなかったことは、その後の彼の変遷を見れば明らかなことである。

ブルーノート時代に残したこの後の軌跡を見ても、ハンコックとは対照的に、

どこか野暮ったく、真面目で、不器用な作品の感を受ける。

マッコイも同時代のハンコックの活躍は相当、意識していたとは思うのだが・・・。

 

しかし、しかしである。当たり前のことかも知れないが、

彼の生み出した奏法は、極めて革新的、独創的であり、

ダイナミズムに溢れた、その圧倒的な存在感は、燦然と輝いているのである。

孤高の人、マッコイ。

何より、その後の数々のジャズピアニストに圧倒的な影響力を与えてきたことを

今一度評価すべきだと思うのである。

マッコイより前にこんなピアノを弾く人はいなかった。

特にインパルスからこのブルーノートに移籍する間に、

自らの奏法に磨きをかけて、非常に完成度の高いスタイルを完成させるために、

相当、苦労して、練習して、研究したのであろう。

明らかに、コルトレーン時代のマッコイとは、一線を画している。

そうした、マッコイの気合と意気込みを感じさせるアルバムなのである。

まさに、「モーダルなジャズ」と表現する時の代名詞のような作品である。

 

それにしても、ジョー・ヘンダーソンのカッコいいこと!

(特に、最後の「Blues On The Corner」のジョー・ヘンのソロ)

マッコイ、エルビンらとの相性も最高で、非常にブルージーで、

彼にとっても最良の演奏の軌跡となっている。

 

McCoy Tyner (p)

Joe Henderson (ts)

Ron Carter (b)

Elvin Jones (ds)

 

1.Passion Dance

2.Contemplation

3.Four By Five

4.Search For Peace

5.Blues On The Corner

 


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Arroyito Dúo アロシート・デュオ Raigal

アルゼンチンの風

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カルロス・アギーレつながりで知った、

アルゼンチンのデュオユニット、「アロシート・デュオ」。

このユニット、3作目のアルバムということである。

 

ジャズではないけれども、

つい、紹介したくなってしまう、アルゼンチンの音楽。

アルゼンチン音楽の特有の8分の6拍子のリズムに乗って、

奏でられる、確かなインストルメンタル

そして、透明感のある、ヴィクトリア・デ・ラ・プエンテの歌声。

 

アルゼンチンの音楽を聴いて、いつも感じるのは、

ボサノバの「倦怠」とは違って、

「希望」とか「風」、「大地」、「慈しみ」といった言葉がピッタリくるような、

とても幸せで、前向きな気分にさせてくれる何かがあること。

 

アルゼンチンの国旗の、

「青」は大空・正義・真実・友情・海や国土などを表し、

「白」は国を潤す母なるラプラタ川を表しているそうである。

壮大な自然と、ヨーロッパと南米の融合した文化の国、アルゼンチンを、

いつか、訪れてみたい!

 

ictoria de la Puente – vocal
Nehuén Rapoport – guitar, bass (1, 3, 4, 6, 7), vocal (1, 3, 4, 6, 7)
Mario Galván – piano, keyboard
Franco Giovos – drums, percussion
Paula Giovannetti – bandoneon (2)
Matías Jablonsky – flute (2, 3, 6, 7)
Santiago Rapoport – contrabass (5)
Carlos “Negro” Aguirre – accordion, vocal (4)

1) Pararse en la mitad
2) Yo tuve un acierto
3) Soy del sur
4) Dame el agua
5) El desorden del viento
6) Serena
7) Dactilar

 

 

カルロス・アギーレをフャーチャーした4曲目の「Dame el agua」


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リオ・ネグロ州文化庁が主催したコンテストで最優秀賞を獲得した、「Soy del sur」


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David Sanborn デイヴィッド・サンボーン Backstreet

サンボーンとマーカス・ミラーの相性

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デイビィッド・サンボーン自体を語るのは難しい。

 

様々なアーティストのレコーディングに客演し、ツボを得たソロを披露して、

曲全体のクオリティに華を添えると言った立ち位置が、

サンボーンにとって、自身の魅力を発揮できる最高の環境であったような気がする。

 

サンボーンの演奏というのは、本質的に客演ソリストとして、

あのサンボーン節を、曲の途中に、放り込むことによって、

一挙に洗練されたフィーリングを醸成させ、心に響いてくるのであって、

テーマからソロと全編、サンボーン節で構成された数々のリーダーアルバムは、

やはり、しつこく感じるのである。

アルバムを通して聴いていると、だんだん食傷気味で飽きてくるのである。

 

ただ、マーカス・ミラーという職人はそうしたサンボーンの特質を知り抜いていて、

ロディアスでグルービーなミラーサウンドで、

サンボーン節そのものを緻密に構成し、オーケストレーションすることによって、

一つの飽きのこない楽曲として成立させてしまったのである。

 

このアルバムは、ある意味、マーカス・ミラーの作品と言える。

例えば、冒頭の「I Told U So」を聴くと、

むしろチープな打ち込感の中で、ミラーのベースの強烈なグルーブ感を頼りに、

サンボーンが気持ちよさそうに吹いているだけの曲かも知れないが、

サンボーン節が、そのまま楽曲メロディとして構築・編成されているため、

しつこく感じないのである。実にスムーズでメロディアスで洗練されている。

マーカス・ミラーの驚くべき才能のなせる技なのである。

逆に、マーカス・ミラーもサンボーンという個性的な素材と出会えたことで、

自らのオーガナイザーとしての本領を発揮できたとも言える。

 

二人のコラポレーションとしては、

最高にヒップでファンキーな成果を残したのが、

このアルバムなのではないかと思う。

個人的には、「ハイダウェイ」も大好きなのだが・・・。

 

David Sanborn(as, ss),

Marcus Miller(b, el-p, p, synth, g, perc, vo, vocoder),

Michael Colina(synth, p, vocoder),

Huram Bullock(g, el-p, synth-b),

Steve Gadd(ds),

Ralph McDonald(perc),

Buzz Feiton(g),

Luther Vandross(vo), Tawatha Agee(vo), Yvonne Lewis(vo), Barry Johnson(vo)

 

1 I Told U So
2 When You Smile At Me
3 Believer
4 Backstreet

5 A Tear For Crystal
6 Bums Cathedral
7 Blue Beach
8 Neither One Of Us


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