マイルス自身お気に入りの未発表録音集で概観するマイルスの音楽の変遷
Circle In The Round
Directions
「サークル・イン・ザ・ラウンド」と言う、
マイルスの引退中の1979年に発表された未発表曲アルバムの中に、
「スプラッシュ」というナンバーがあるが、時たま無性に聴きたくなる。
「キリマンジャロの娘」と「イン・ア・サイレントウェイ」の間に録音されたもので、
ショーター、ハンコック、トニー・ウィリアムスという旧のメンバーに、
何と言っても、ハンコックとコリアのジャズ・ロック的掛け合いが鬼カッコイイ!
マイルスの沈黙期に発売された、この2枚の未発表録音集は、
単なる寄せ集め、所詮は実験的なもので、選に漏れた演奏群なのであろうか?
私は、もっとこの二枚のアルバムの価値を積極的に捉えたい。
マイルスの音楽の変遷を概観的に理解する上で、
非常に参考になる編集作品であると。
それは、未発表になってしまったことが、信じられないくらいの
クオリティが高い曲ばかりであるという点だけではなく、
50年代から70年代にかけて、疾走してきたマイルスの
探究心溢れる革新的な軌跡を、ある意味、ストーリー性ある音楽絵巻として、
再構成、再編成し、時間的なタームの中でマイルの魅力を捉え直そうとした
試みも含めて、もっと評価されるべきだと思うからだ。
マイルス自身も選曲に関わり、作品の仕上がりには満足していたらしい。
マイルスの音楽に対するこだわりが反映した、編纂事業とも言えるのだ。
改めて、二枚のアルバムを、年代を追って順に聴いていくと、
それぞれの時代におけるエボックメイキングな成功に安住することなく、
常に、時代の雰囲気を先取りし、新たな表現のあり方を追求、挑戦していった
マイルスの功績の素晴らしさを、思い知ることになる。
Circle In The Round
[Disc 1]
01TWO BASS HIT
02LOVE FOR SALE
1. Song Of Our Country
2. 'Round Midnight
3. So Near, So Far
4. Limbo
5. Water On The Pond
6. Fun
7. Directions, No.1
8. Directions, No.2
Disc 2
1. Ascent
2. Duran
3. Konda
4. Willie Nelson
Miles Davis: Splash (Circle In The Round 1979)