JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

Tony Bennett / Bill Evans トニー・ベネット&ビル・エヴァンス

エバンスというアーティストの面白いところ

歌もののアルバムの紹介が続くが、

なんと言っても、ピアノとボーカルのデュオの代表的な一枚と言ったら、

まず、このアルバムを思い浮かべる。

 

3歳程度年上のトニー・ベネットに寄り添う形で、

いつもより少し控えめに、抑え気味にピアノ弾くエバンスが、

なんとも美しい。

トニー・ベネットの声というのは、

もともとシルキーでゴージャス感が半端ないが、

エバンスというパートナーを得て、

ますますその気品に磨きがかかっている。

 

エバンスが「寄り添う形で」と書いたが、

実は、両者が、対等で互角なインプロビゼーションなのである。

対等であるためには、

70年代の生き急いだエバンスによく見られる、焦りのような性急さは、

抑制される必要がある。

このアルバムでは、エバンスの過剰さは、しっかり抑制されており、

非常にコントロールされたバランスの良い演奏をしている。

エバンスも稀代のマエストロを前に、入念な準備をしたと思われる。

 

それにしてもエバンスといえば、ピアノトリオなのであるが、

トリオ以外にも、素晴らしいクオリティの作品を生み出している。

一つは、ジム・ホールとのデュオ作品

アンダーカレント」と「インターモデュレーション」。

二つ目は、トゥーツ・シールスマンとの共演作品「アフィニティ」、

そして最後に、このトニー・ベネットとのデュオ作品。

この三つの取り組みは、いつもより入念な準備が想像できて、

エバンスというアーティストの面白さというか、

多様な側面も垣間見ることができて、非常に貴重である。

エバンス自身のプレイの本質が変わっているというわけでは勿論ないが、

一つ一つの完成度が非常に高く、エバンス自身も刺激を受けて、

いつになく気合いが入っていながら、抑制が効いているところが、とても面白い。

 

1. Young And Foolish 3:50
2. The Touch Of Your Lips 3:54
3. Some Other Time 4:40
4. When In Rome 2:53
5. We'll Be Together Again 4:36

6. My Foolish Heart 4:47
7. Waltz For Debby 4:20
8. But Beautiful 3:34
9. Days Of Wine And Roses 2:20

 


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