JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

PAUL BLEY ポール・ブレイ BALLADS

ポール・ブレイの名前を聞くだけで

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若い頃、ポール・ブレイの名前を聞くだけで、悶えていた。

名前も、イケメンの風貌も、くゆらすパイプも、アルバムジャケットの気持ち悪さも、

そして、極めてナルシスティックな演奏も、

すべてが、ポール・ブレイというファッション、モードになっていて、

もう、チョー格好良かった。ゾッコンであった。

 

好きなアルバムは、沢山あるのだが、

やはり一番好きなのは、1960年代後半のトリオ作品群。

何か、非常に冷めた、突き放したような、枯れた感じのサウンドが堪らない。

時代の前衛的な雰囲気を纏った、

クローサー」、「ランブリン」、「タッチング」、「イン・ハーレム」、

「ミスタージョイ」、「ブラッド」、「ヴチューオージ」といった作品群は、

アノトリオというフォーマットの地平を大きく切り拓いた。

当時のマイルス・デービスクインテットトニー・ウィリアムスやハンコックは

かなりブレイの音楽を研究したと言われている。

 

このアルバムの17分にも及ぶ、冒頭曲の「エンディング」は、特に素晴らしい。

三者がお互い、呼応しているようで、呼応してない感じの距離感。

うーんなんて説明したら良いのだろうか。

バリー・アルトシュルの切り裂くようなシンバルワーク、

ゲーリー・ピーコックの恐ろしくストイックで無骨なベースワーク、

それぞれが奏でる音が、それぞれ粒たち立って存在感があるのに、

決して混濁して騒々しくならず、絶妙なバランスでゴールに向かって疾走する

といった感覚。ブレイのトリオの中でも、珠玉の出来であると思う。

 

亡くなる何年か前に、松本市文化ホールで開かれたブレイのソロコンサートの終演後、

握手とサインに応じてくれたブレイは、絶えず笑みを浮かべていらしたが、

寡黙で、少し元気がなかった。

サインをもらうために渡した大好きなLP「ミスター・ジョイ」を見ると、

嬉しそうにウンウンと頷いていたブレイの表情が忘れられない。

 

Paul Bley(p)

Gary Peacock(B)  (1)

Mark Levinson(B) (2)(3)

Barry Altschul(Ds)

 

1. Ending

2. Circles

3. So Hard It Hurts

録音年:1966年7月、1967年3月31日/収録場所:ニューヨーク

 

Youtubeに「BALLADS」の曲がアップされていなかったため、

1967年7月28日に同じメンバーでニューヨークで録音された「Virtuosi」を紹介します。


Barry Altschul, Paul Bley, Gary Peacock – Virtuosi