JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

Wether Report ウェザー・リポート/Procession

 

ザビヌルが進もうとした世界

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アルバムタイトル「プロセッション」。意味深である。

どんな世界に向かっている、向かおうとしている「行進」なのだろうか。

ジャケットアルバムも、そうした想像を掻き立てる素晴らしい出来である。

 

このアルバムから、リズムセクションが、

ビーター・アースキンからオマー・ハキムへ

ジャコ・パストリアスからビクター・ベイリーへと変わった。

ここに至って、ザビヌルが辺境者としての本領を発揮できる下地が整ったと感じる。

ウェザー・リポートというより、ザビヌルのバンドになったというか・・・。

 

このメンバーによる三作、つまり本作と「ドミノ・セオリー」、

「スポーティン・ライフ」は、ザビヌルが自己表現という意味において、

自分のやりたいことを、完全に自分のコントロール下で成し得ることができた

作品群であると思う。

だから、ザビヌルの音楽性があまり性に合わない人は、

ウェザーリポートといえば、やはりジャコ、アースキン、ショーターの

黄金時代までだとする人が多いような気もする。

しかし、トンデモナイ話である。

ザビヌル好きの私としては、ウェザー・リポートという音楽の核を、

ザビヌルの「辺境性」と「執着性」が作用した「創造性」と定義しており、

この三作をもって、ウェザー・リポートがその極みに達したというべきだと

思うのである。

 

そうした意味でも、このアルバムタイトル「プロセッション」=「行進」は、

ザビヌルの新たな出発を象徴しているし、その意気込みを強く感じる。

また、ビクター・ベイリーは若くして逝去したが、オマー・ハキムとともに、

ザビヌルの先進性と独創性を支えた強力なリズムセクションとして、

もっともっと評価されていいのではないかと思う。

 

 

Wether Report /Procession

Joe Zawinul / keyboards, synths, producer
Wayne Shorter / soprano & tenor saxophones
Victor Bailey / bass
Omar Hakim / drums, electric guitar, vocals
José Rossy / percussion, concertina
With:
- The Manhattan Transfer (Cheryl Bentyne, Tim Hauser, Alan Paul, Janis Seigel) / vocals (4)

1. Procession (8:41)
2. Plaza Real (5:30)
3. Two Lines (7:42)
4. Where the Moon Goes (7:49)
5. The Well (Live *) (4:00)
6. Molasses Run (5:50)

* Concert improvisation at Nagoya, Japan on June 3, 1981.

 


Weather Report - Procession Live 1983