JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

2023のベスト3

今年のベストは、マーク・ジュリアナ、パット・メセニー、ホーザ・パッソス&ルーラ・ガルヴァオン

 マーク・ジュリアナ「Mischief」

 パット・メセニー「Dream Box」

                    ホーザ・パッソス&ルーラ・ガルヴァオン

 

今年も、新譜を広く聴いたわけではなく、むしろ、

昔から所有していたり、名盤と言われながらも聴いていなかった

アルバムなどを中心に聴く機会が多い年であった

例えば、オスカー・ピーターソントリオとミルト・ジャクソン

1962年のverev盤「Very Tall」。

こんな良質なジャズを聴き逃していたとは!

それから、日本ジャズ界の若手の活躍に、改めて心震えた年でもあった。

平川初音が井上陽介と池田篤と組んでリリースしたアルバム、

「Wheel Of Time」には手放しで拍手を送りたいし、

12月10日に兜町で開かれた「JAZZ EMP@Tokyo Financial Street」は、

なんと無料のイベントであったが、

平川初音、松原慎之介、Taka Nawashiroの各ユニットの演奏が本当に素晴らしかった。

自分たちのやりたいことをやるというコンセプトのもと展開された音楽は、

エネルギッシュなだけでなく、高度な技術に裏付けされた、

非常にクリエイティブで構成力の優れたサウンドに満ち溢れ、

久々にライブの醍醐味を味わった。

特に、この催しで魅了されたのは、

御贔屓の平川初音のユニットは勿論のこと(奇をてらわない平倉のMCも大好き)、

Taka Nawashiroのユニットがすごかった!

全篇Takaのオリジナルだが、曲作りもうまいし、浮遊感のあるギターとともに、

グループエキスプレッションとして昇華していく様は圧巻であった

壺阪健斗のピアノも冴えに冴えていたし、高橋陸のベースも期待通り。

そして何より初めて聴いたドラムの小田切和寛のエレガントなドラムにも痺れた。

これだけ高レベルの熱い音楽が日本から生まれていることを、

もっともっと広く知らしめたいという気持ちになった。

美術界のパトロンというサポートは昔からよく聞くが、

若手ジャズミュージシャンのパトロン文化、即ち、若手育成に企業や愛好家が

私財を投じるという社会貢献が、日本にも定着していかねばならないのではと感じた。


さて、本題の今年度のベスト3は、

マーク・ジュリアナ「Mischief」

zawinul.hatenablog.com

パット・メセニー「Dream Box」

zawinul.hatenablog.com

ホーザ・パッソス&ルーラ・ガルヴァオン

zawinul.hatenablog.com

にしました。


マーク・ジュリアナは昨年度に引き続きセレクトしたが、

やはり圧倒的に凄いことをやってるなという感覚、

簡単には説明できない説得力が備わっている。

今回は、前作の「The sound of Listening」の実験的な側面というより、

ジャズというトラディショナルを真正面から受け止め、

余裕さえ感じられるアプローチに、心底やられたという感じである。

パット・メセニーは一言、私のノスタルジーである。

これをやられては完全にノックアウトである。

メセニーのソロアルバムなんだけど、

どうしてもライル・メイズ想起してしまう自分がいる。

そして、ホーザ・パッソス&ルーラ・ガルヴァオン。

これまで知らなかった名手ルーラ・ガルヴァオンのギターにのせて語られる

枯淡でフラジャイルなホーザの歌声がしみじみと心に沁みわたってきます。