JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

Jacob Collier ジェイコブ・コリアー Djesse Vol. 4

ジェイコブ・コリアーの「わかりすく、難しことをやる」

 

このジェイコブ・コリアーの

Djesseシリーズ最後の集大成的アルバムを聴いて、

久しぶりに若かりし頃の音楽的戦慄の感覚が蘇ってきた。

 

「戦慄」を辞書で引くと、「怖くて震えること。おののくこと」とある。

怖くはないので、少しニュアンスは違うが、

「身体が震える」とか「血がたぎる」とか「おののく」といった表現は

しっくりくる。

 

私にとっても洋楽の初体験であった、クイーンの第5作までの初期作品群や、

EL&Pの「恐怖の頭脳改革」、ツェッペリンの映画「永遠の詩」など、

十代の頃の音楽体験はあまりにも強烈で、まさに戦慄して聴いていた。

 

ジャズでは、そこまで十代のころ感じたような戦慄を与えてくれた

アルバムはないのかもしれない。

強いて挙げれば、

マイルスのライブ盤「マイ・ファニー・バレンタイン」

キースの「スタンダーズVOL.1」、ハンコックの「バタフライ」あたりか。

 

ジェイコブ・コリアーとの出会いは、最初から衝撃的で、

一時、かなりハマっていた時期があったが、

最近、少し鼻につくような感じで、飽きてきたとも言えるのだが、

このジェイコブ・コリアーの新作を聴いて、まずは、

「ああ、素直になったなぁ」

「ポップでわかりやすくていい感じ!」

という第一印象が、まずあり、とても好感が持て、聴き進むことができた。

しかし、聴き進むうちに、不思議なことに、

前述の若かりし頃の戦慄に近い感覚が蘇ってきたのである。

勿論、若かりし頃の戦慄の程度の強さには及ばないのだが、

もし、このアルバムを、若い頃に熟聴していたら

強烈に戦慄していたのではなかろうかと、想像してしまったのである。

 

それだけ、このアルバムは、広がりのある音楽の仕掛けが充満して、

玉手箱のような魅力に溢れ、わかりやすく、かつ完成度も高い。

わかりやすく、難しことをやる、ジェイコブは偉いと思うのである。

 

今更ながら、やはり、ジェイコブ・コリアーは凄いアーティストだと思う。

凄すぎて、リスナーは、滅多なことでは

驚かなくなってしまうのかもしれない。

これだけの創作物を、隅々まで浸りながら聴いてみれば、

その恐ろしいほどの沼に、溺れる事だろうと思うのである。

 

1. 100,000 Voices
2. She Put Sunshine
3. Little Blue (feat. Brandi Carlile)
4. WELLLL
5. Cinnamon Crush (feat. Lindsey Lomis)
6. Wherever I Go (feat. Lawrence & Michael McDonald)
7. Summer Rain (feat. Maddison Cunningham & Chris Thile)
8. A Rock Somewhere (feat. Anoushka Shankar & Varijashree Venugopal)
9. Mi Corazón (feat. Camilo)
10. Witness Me (feat. Shawn Mendes, Stormzy & Kirk Franklin)
11. Never Gonna Be Alone (feat. Lizzy McAlpine & John Mayer)
12. Bridge Over Troubled Water (feat. John Legend & Tori Kelly)
13. Over You (feat. aespa & Chris Marin)
14. Box Of Stars Pt. 1 (feat. Kirk Franklin, CHIKA, D Smoke, Sho Madjo, Yelle & Kanyi)
15. Box Of Stars Pt. 2 (feat. Metropole Orkest, Suzie Collier, Steve Vai & VOCES8)
16. World O World

 


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