懐かしさと、温かさ。
エンリコ・ピエラヌンツィのチェットへの想いが
詰まったアルバムである。
大好きなアルバムである「Soft Journey」でのナンバーの多くを採用して、
今回はビックバンドを従え、何とも粋な仕上がりになっている。
エンリコ・ピエラヌンツィというアーティストは、
ハマる時はハマるのだが、過剰なプレイが耳についてハマらない時も数多くある
私にとって、微妙なピアニストである。
ただ、ハマる時のエンリコの「歌いぶり」には痛く触発される時もある。
特に、チェットと共演した「Soft Journey」の時のエンリコは、
軽妙洒脱で、レジェンドのチェットに寄り添うようにサポートしている。
リーダー作の多いエンリコだが、サイドマンに回った時の方が、
良い味を出してくれる気がする。
今回は、バート・ヨリスという初めて聞く、トランペッターを迎えているが、
ふくよかな温かみのあるトーンは、チェットの面影や影響を感じさせる。
やはり、「Soft Journey」の再演が一番、グッときた。
ビックバンドが入ることにより、この曲の美しさや奥深さが、
より増しているように思う。
ラージアンサンブル向けの曲と言えよう。
この曲におけるエンリコのソロも抑制が取れていて、よく歌っている。
懐かしさと、暖かさに溢れた作品に仕上がっている。
Enrico Pieranunzi – piano
Bert Joris – trumpet
Frankfurt Radio Bigband
1. From E. to C. 07:25
2. Lost and Found 05:55
3. Chet 08:14
4. Soft Journey 06:45
5. Fairy Flowers 08:35
6. Night Bird 06:50
7. Echoes 07:20
8. Brown Cat Dance 06:08
9. The Real You 05:01