JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

Glenn Zaleski  グレン・ザレスキー  My Ideal

信頼できるピアノ

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「信頼できるピアノ」

というタイトルも変ではあるが、

グレン・ザレスキーのピアノを聴いていると、

ジャズピアノとは、「かくあるべき」という感想がいつも出てくる。

 

このスタンダードを中心に取り上げた、ザレスキーの初リーダー作は、

ジャズピアノを試みるものにとって、

リズム、フレーズ、ハーモニー、インタープレイのあり方などなど、

ジャズの伝統に培われた様々な味わいのあるイディオムや豊富なアイデア

勉強することができる最高の教材でもある。

それだけテクニック的にも、歌心的にも、

先人の偉大なアーティストの知恵をよく吸収し、精通しており、

また、アプローチの仕方が実に素直(ストレート・アヘッド)であり、安定感がある。

そして、斬新で現代的な響きも併せ持っている。

(ラストのラビ・コルトレーンをフューチャーしたI'm Old Fashionedの解釈など)

 

いささか、誉めすぎかも知れないが、

ザレスキーのピアノを聴くと、いつも、

なんて整った、考え抜かれた、スマートな演奏なんだろうと感心してしまう。

アーロン・パークスやジェラルド・クレイトンのスタンダードの解釈も

素晴らしく、流石だなぁと感心することが多いのだが、

ザレスキーのピアノは、この二人とは違って、なんと言ったら良いのであろう、

もっと、学究的な匂いがするとでも表現したいような、

渋く地味だが、何度も読み返して味わいたくなるような、

そして読み返すたびに、新たな発見がある座右の名書のような存在と

言ったら良いかも知れない。

 

ザレスキーは、多分、知る人ぞ知る存在であり、

表に出てブレークするようなアーティストではないと思う。

しかし、一人、ほくそ笑みながら、

その硬質で豊穣な、奥行きのある職人プレイを堪能できる喜びに浸り、

幸せを味わえる、稀有な存在の一人なのです。

 

Glenn Zaleski - piano
Dezron Douglas - bass
Craig Weinrib - drums
Ravi Coltrane - tenor saxophone (track 9)

 

1. Nobody Else But Me (Jerome Kern)
2. Waltz For MD (Rick Rosato)
3. Make Someone Happy (Jule Styne)
4. Cheryl (Charlie Parker)
5. Body and Soul (Johnny Green)
6. REL (Peter Schlamb)
7. Arietis (Freddie Hubbard)
8. My Ideal (Richard A.Whiting)
9. I'm Old Fashioned (Jerome Kern)

 


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