完備。ピアニストの最高峰
2011年のジェラルド・クレイトン2作目のリーダーアルバム。
私は、このアルバムが大好きで、本当によく聴く。
ジェラルド・クレイトンは、
テクニック、リズム、音づかい、ダイナミクス、歌ごころ、ハーモニー、構成力、
どれをとっても非の打ちどころがなく、バランス感覚の優れた、
現代最高峰のピアニストであると思う。
デビューアルバムの「two-shade」は、
いささか、鼻持ちならない、これみよがしの感はあったものの、
このアルバムは、全編を通じて、比較的落ち着いた語り口でありながら、
内なるパッションがそこ彼処に見え隠れして、味わい深い。
そして、ピアノ トリオというフォーマットの魅力を最大限に引き出している。
オリジナル曲も創意溢れていて素晴らしいが、ソロで奏でられる、
スタンダードの「Nobody Else But Me 」を是非、聴いて欲しい。
彼がいかに、伝統を勉強し、吸収し尽くしているかが、よくわかる演奏である。
ソロピアノをここまで、コンセプチュアルにちゃんと弾ける人というのは、
そんなにいない。
特に左手の使い方が素晴らしく、対位法的なメソッドを導入しながら、
メロディアスに奏でる様は、まず真似できない。
こんなに美しい「Nobody Else But Me 」を聴いたことがない。
曲の途中で微かに聴こえる、彼のハミングさえ、嬉しくなってくる。
繰り返し言うが、非の打ちどころがないピアニストである。
若手の中では、アーロン・バークス、グレン・ザレスキーと並んで、
ご贔屓のピアニストです。
Gerald Clayton: piano
Joe Sanders: bass
Justin Brown: drums
1 If I Were A Bell 7:48
2 Bond: The Cast 3:45
3 Bootleg Bruise 5:07
4 Major Hope 6:14
5 Bond: Fress Squeeze 4:02
6 Snake Bite 3:51
7 Sun Glimpse 6:34
8 Which Persons? 1:21
9 3D 6:39
10 Nobody Else But Me 4:37
11 All The Things You Are 3:43
12 Bond: The Release 3:45
13 Shout And Cry 3:30
14 Round Come Round 4:51
15 Hank 4:50
スタンダード曲「Nobody Else But Me」の解釈が途轍もなく渋い。