JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

Alboran Trio  アルボラン・トリオ Islands

アノトリオにおけるドラムの役割

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このアルバムを紹介するかどうか、迷いました。

でも、なんやかんやいって、よく聴いているため、少し気は引けるのですが、

紹介したいと思います。

 

ジャズ批評「ジャズオーディオ・ディスク大賞」を受賞したとのことで、

評論家の評価も高いようで、

全く、このトリオのメンバーも知らない方ばかりでしたが、

どんなトリオなんだろうと、Itunesでワクワクしながら試聴したのは、

昨年の12月頃。

 

第一印象は、「うーん、なんか大袈裟だけど、気にはなるなぁ」という程度で、

先鋭的な趣きはあるものの、どちらかというと、少し懐かしい感じさえする、

少し過剰な叙情性が、ある意味、日本人好みなのではと。

ただ、何より、ドラムのアプローチがやはり気になった。

ピアニストにとって、こんなドラミングの中で、ピアノを奏でることができたら、

それはそれは、気持ちよいと思うのです。

 

サニー・マレーやバリー・アルトシュルのような

リズムを極限まで細分化したドラムのアプローチに近いが、

特に、5曲目の「Puerto Natales」のシンバルとスネアの囁くようなドラミングが

なんとも心地よい。

この曲だけでも、このアルバムは買いかもしれない。

曲調も少々過剰なロマンティシズムが、耳にこびりつくようで心地よい。

 

アノトリオというフォーマットにおいては、

エバンストリオでよく取り沙汰される、ベースとの相性以上に、

ドラマーとの相性は非常に重要だというのが、私の意見。

エバンスは、ポール・モチアンあってこその、ラファロ4部作であり、

また、ジャック・ディジョネットより技量の落ちるマーティ・モレルの方が

エバンスのピアノが引き立つのである。

 

アノトリオのサウンドは、ピアノとドラムという組み合わせの中で、

主役であるピアノの存在の有り様が変化する。

もちろんアルバムの方向性というものの違いはあるかもしれないが、

スタンダードを演奏するピアノトリオという条件においては、

ピアニスト自身のスタイルはそれほど変わるものではないため、

ドラムが変わることによる差異に着目して聴くと、

結構面白い聴き方ができるものである。

例えば、オスカー・ピーターソンであれば、エド・シグペンとルイス・ナッシュ

ポール・ブレイであれば、バリー・アルトシュルとポール・モチアン

シダー・ウォルトンでは、ビリー・ヒギンズとアル・フォスター

キース・ジャレットでは、ジャック・ディジョネットポール・モチアン

チック・コリアでは、ブライアン・ブレイドとデイブ・ウェックルなどなど、

ドラマーとの組み合わせによる聴き比べをすると、

ピアノ演奏の表情やダイナミズムの違いが大きいことに気づくと思うのです。

ぜひ、チャレンジを。

 

Paolo Paliaga (p)
Dino Contenti (b)
Ferdinando Farao (ds)

 

1. Les Voix S’En Vont
2. Human
3. Canto Quantico
4. Earth Breath
5. Puerto Natales
6. Multiple Frames
7. In Un Altrove
8. Frug
9. Origine E’La Meta
10. Due Passi Nel Mare
11. Triodiversity
12. Essential Is No Longer Visible
13. Willywaw
14. Arriva Entre Los Picos

 

お気に入りの「Puerto Natales」


www.youtube.com