久々に惚れたピアニスト グレン・ザレスキー

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昨今、音楽もitunesを始めサブスクのおかげで、
ジャズの場合、旧作から最新作まで、
世に出ているアルバムのほとんどを、自分のライブラリーに追加することができる。 
そのせいか、少し試聴して、いいなと思ったものは気軽にダウンロードして、
ひとまず、ライブラリーに追加していくといったパターンが増えてきた。
アルバム一枚一枚を聴きこんで、徐々に惚れていくということが少なくなっている。
 
このアルバムは、最初に試聴した時から、グッとハートを掴まれ、
一気に通して聴きこんでしまった、最近では珍しいアルバムである。
 今や、若手を代表するピアニストのアーロン・パークスや
ジェラルド・クレイトンより3歳から4歳くらい、若い年齢になるが、
この二人に匹敵する、いや凌駕するほどの力量と可能性を秘めた
素晴らしいピアニストであると思う。
 
特筆すべき第一は、「ピアノタッチ」。
このタッチはYOUTUBEを見てもらうとわかると思うが、
非常に力を抜いて軽く鍵盤を、どちらかというとぎこちなく、
撫でるように弾いていながら、非常に深く、硬質な味わいのあるトーンを
生み出している。
 
特筆すべき二つ目は、「考え抜かれた構成力」。
多分、トリオフォーマットとして、何度もメンバー間で推敲されているのだろう。
スポンティニアスな即興ではなく、綿密かつ慎重に計算された即興と言える。
「ストイックな作法に裏打ちされた、優雅な遊び」とでも表現したらいいのか、
とにかく、聴くたびに、考え抜かれた仕組みが新たに浮かび上がってくる。
 
最後に、サイドを勤める、ペースのデズロン・ダグラスの素晴らしさ。
ベースラインだけ集中して聴くと、その良さがよく分かるのだが、
ベースラインの確かさと音色の美しさ、力強さに心打たれる。
ザレスキーとの相性も抜群である。
 
グレン・ザレスキー。
どちらかというと、地味な印象から、まだまだ知名度は低いと思うが、
もっともっと多くの人にその魅力を知ってもらい、知名度が上がって、
私自身、まだ生を聴いていないので、ぜひ、再来日してほしい。

          Piano – Glenn Zaleski      

          Bass – Dezron Douglas

          Drums – Craig Weinrib

          2017年2月24日

 


Glenn Zaleski Trio - "Fellowship"