JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

kenny garrett  ケニー・ギャレット sounds from the ancestors

先祖からの音群

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アルバムタイトルを直訳すると、

「先祖からの音群」になる。

アルバムジャケットを観察しても、

音楽のミューズが、ケニーに息を吹き込んだものが、

彼のサックスを通じて、溢れ出してくると言ったイメージ。

 

いよいよ、ケニー・ギャレットというアーティストは、

単なるアルトサックス奏者としての枠を超えて、

オーガナイザーとしての歩みを着実に進めている気がする。

あらゆるビート音楽に敬意を表して、

極めて多彩なサウンドをオーガナイズしようとする彼の心意気に感服。

聴き終わって、何か爽快感のようなものさえ感じる。筋が通っているというか。

真っ当で、ハッピーで、創造力に溢れた作品です。

 

また、ロイ・ハーグローブに捧げた2曲目の「Hargrove」、

さらに、アート・ブレイキとトニー・アレンに捧げた4曲目の「For Art’s Sake」は、

彼の嗜好、ルーツを知る上でも興味深い。

特に、「Hargrove」の軽快なリズムに乗って執拗に奏でられるリフレインは、

いかにロイ・ハーグローブが、同時代のミュージシャンにとって、

象徴的で、影響力のあった存在であったかを、教えてくれるような気がします。

 

特に、素晴らしいと思ったのは、「It’s Time to Come Home」。

これこそ、ケニー・ギャレットという人の奥深さを感じるテイストのサウンドを、

冒頭とエンディングに持ってきたセンスがなんとも、素晴らしい。

 

そして、タイトル曲「Sounds from the Ancestors」。

ケニー自身の気を衒わないピアノソロから始まりながら、

少し懐かしささえ感じる、アフロな豊穣の世界に聞き手を誘(いざな)い、

また、ケニーのピアノソロで幕を閉じるという、素直なケニーの世界。

 

変にいじっていない、だけど多彩で深淵といった感覚。

ケニー・ギャレットの魅力を再認識した一枚です。

 

Kenny Garrett – alto saxophone (all tracks),

                            vocals (2), electric piano (2, 3, 4, 6), piano intro/outro (7)

Vernell Brown, Jr. – piano (all tracks except 3)

Corcoran Holt – bass (all tracks)

Ronald Bruner – drums (all tracks)

Rudy Bird – percussion (all tracks), snare (6)

1. It’s Time to Come Home
2. Hargrove
3. When the Days Were Different
4. For Art’s Sake
5. What Was That?
6. Soldiers of the Fields / Soldats des Champs
7. Sounds from the Ancestors
8. It’s Time to Come Home

 

冒頭とエンディングを飾る曲「It’s Time to Come Home」


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