人生で一番聴いたアルバム
私がジャズを聴き始めて、2枚目に買ったアルバム。
見開きの和紙ライクな白いLPジャケットが素敵で、そこに描かれた、
水墨画のような二人の姿が象徴するように、
地味ながら、二人のインタープレイが紡ぎ出す、枯淡な味わいは、
聴けば聴くほど、滲み出てくるようなアルバムである。
「アンダーカレント」は勿論、歴史的に素晴らしいアルバムであるが、
ある意味、予見しない二人の出会いが奇跡的にスパークした感があるのに対して、
この二作目は、時を経て再開した、二人の信頼関係にあふれた相互作用が、
より深いレベルで交歓し合い、一つの硬質な結晶体に昇華している点において、
前作を上回った即興と言っても言い過ぎでは無い。
何度、繰り返し聴いたことか。
多分、全てのアルバムの中で、人生で一番聴いたと思う。
飽くことなく、毎日毎日ターンテーブルに載せていたのは、
一枚一枚を丁寧に大切に聴いていた貧乏学生の所以たるところではあるが、
それ以上に、この二人の緊密な秘密めいたやりとりの魅力に
取り憑かれてしまったのだろう。
今でも、二人のソロを殆ど口ずさむことができる。
そして今、改めて聴いても、その新鮮さを失わない。
ピアノとギターという楽器による対話が、
これほど交歓する喜びを現し、それでいて、各々が独立して美しくもある、
そんな魅力ある対話ができれば、人生幸せというものである。
演奏者としての孤独の悲しさを自覚したもの同士だからこそ、為せる技。
デュオ作品における最高峰の軌跡をぜひ、ご堪能ください。
Piano – Bill Evans
Guitar – Jim Hall
Recorded April & May 1966
1. I’ve Got You Under My Skin
2. My Man’s Gone Now
3. Turn Out The Stars
4. Angel Face
5. Jazz Samba
6. All Across The City
<動画紹介>
いきなりジム・ホールのソロに始まり、エバンスのソロに引き継がれて、
最後にエバンスのテーマで終わるという、なんともオツな構成の
冒頭曲の「I’ve Got You Under My Skin」
https://www.youtube.com/watch?v=ylzweSpaFDg