JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

Terumasa Hino 日野皓正 PYRAMID

ヒノテルのフトコロ

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ヒノテルこと日野皓正。

学生時代、一度だけ、共演できるチャンスを奇跡的にいただき、

その圧倒的な存在感、全体を掌握するカリスマ性、

包容力のあるサウンドとフレーズに、圧倒されたことをよく覚えている。

 

このアルバムは、その頃、購入して本当によく聴いた。

ヒノテルが制作した数々の作品の中で、

勿論ストレートアヘッドなジャズを熱く吹き上げる作品群も素晴らしいが、

自分としては、本作の他、「シティ・コネクション」、「ニューヨーク・タイムス」、

さらには、意欲作「ダブル・レインボー」といった、フュージョン作品に

より思い入れがある。

 

これらの作品は、ニューヨークの一流のミュージシャンをフューチャーした、

お金のかかった贅沢な作品群であり、ある意味バブリーな匂いがするのであるが、

ヒノテルが一番輝いていた時期だと思うのである。

そして、それが単に商業的な側面を超えた、

世界に通用するヒノテルの天賦の才能と「懐の深さ」を示し得たものだと信じている。

当時のスイングジャーナル誌でのパット・メセニー へのインタビュー記事で、

ヒノテルの「ダフル・レインボー」をよく聴いているといったような発言が

掲載されていたような記憶があるが、当時のニューヨークのジャズシーンにおいて、

ヒノテルは注目される存在だったのである。

 

このアルバム「ピラミッド」は、そう言ったヒノテルの輝かしき時代の、

頂点ともいうべき作品である。

特に聴きどころは、ケニー・カークランドの素晴らしさ。

カークランドのポップな感覚と劇的な構成力が、

ヒノテルの先鋭的なトランペットのサウンド

絶妙なフィーリングで溶け合っている。

同時期にウイントン・マルサリスのハウス・ピアニストとしても、

活躍していたカークランドだが、

どうも、ヒノテルのグループで参加しているカークランドを聴いて、

ウィントンは自分のグループに採用したようである。

その後、ケニーカークランドは、ミロスラフ・ビトウスやエルビン・ジョーンズ

ジョン・スコフィールドマイケル・ブレッカー、ケニー・ギャレットといった

巨匠との経験を積み、メイン・ストリームジャズにおけるジャズピアニストとして、

一世を風靡していったのである。

 

Terumasa Hino/ cornet,flugelhorn
Kenny Kirkland/ kb
Lou Volpe/ eg
Tom Barney/ eb
Richie Morales/ ds
Manolo Badrena/perc
David Sanborn/ as
Don Alias/ perc
Suiho Tosha/ Noh
Bue Alan Rubin/ tp
Lew Soloff/ tp
David Taylor/ bass-tb
Joe Randazzo/ bass-tb
Jerry Dodgion/ as
Dennis Morouse/ ts
Ronnie Cuber/ bs

Recorded at Record Plant Studios, NYC in June, July, 1982

 

1. PYRAMID

2. ESTATE

3. THINK ABOUT IT

4. SILENT SLOPE

5. T FUNK

6. SUNFIEDS

 

7. IGOR’S HIDEAWAY

8. ARCADIA

 


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