JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

Bill Evans ビル・エバンス Alone

「透徹した寂しさ」 タイトルどおりの音楽

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儚げなアルバムジャケット、

そして、エバンスが終生持ち続けたイメージにぴったりの

「アローン」というアルバムタイトル。

 

そのアルバムタイトルが象徴するように

硬質で鋭利な孤独感とでも言ったら良いであろうか、

何か人を寄せ付けない孤高で、媚びない姿勢が、全編通して貫かれている。

トリオデュオと違って、まさに自己との対話になるソロ作品において、

学究的で、かつ内省的な、エバンスにとって極めて本質的な特徴が、

そのまま、曝け出されているような気がするのである。

 

ピアノソロというフォーマットは、

やはり、その人の本姓がストレートに出てしまうというのはあるであろう。

 

オスカー・ピーターソンチック・コリアレイ・ブライアント

キース・ジャレットセロニアス・モンクミシェル・ペトルチアーニ

数々の偉大なピアニストが素晴らしいソロ作品を残しており、

それぞれが、やはり違う味があり、その人らしさを醸し出している。

 

エバンスのソロ作品には、逃げ場のない、

急き立てられるような、寂寥感とでも言おうか、

ある種、深い冷たさを、どうしても感じてしまう。

楽しげな明るい曲でさえ、痛々しさを感じる。

強いてあげれば、モンクのソロ作品における孤独感に近い。

ベクトルが内へ内へと向かうような、

透徹した、厳しさのある寂しさが充満している気がする。

 

晩年に出した、「アーロン・アゲイン」はもっと、痛々しい。

エバンスのソロを聴くと、

どれだけ弾いて、弾き続けても、いつまでたっても、精神的に充足されず、

絶えず、急き立てられるように、ピアノに向かわざるを得ない、

壮絶感さえ感じるのである。

そこまで自分を追い詰めなくとも、と言った感じ。

 

でもそこに残された壮絶な軌跡は、

やはり限りなく美しく、愛おしい。

聴けば聴くほど、その感が強まっていく。

 

Bill Evans(p)

1968.9.23,24,30, 10.8,14,21, NY

 

1  Here’s That Rainy Day

2  A Time For Love

3  Midnight Mood

4  On A Clear Day

5  Never Let Me Go

6  Medley: All The Things You Are / Midnight Mood

7  Time For Love (Alternate Take)

 

メドレーの冒頭、オール・ザ・シングス・ユー・アーの

畳み掛けるようなフレーズの積分に、たまらなく寂しさを感じてしまう。


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