JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

JOSE JAMES ホセ・ジェイムズ Blackmagic (10th Anniversary Edition)

リイシュー! 「Black Magic」の魅力

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今回は、尊敬する東京 Zawinul Bachの坪口昌恭の解説文を

そのまま引用させていただきました。

 

ホセ・ジェイムズ(José James)『Blackmagic』発売10周年を迎えた

名盤の革新性を坪口昌恭が紐解く

mikiki.tokyo.jp

このリシューアルバムに追加された3曲については、

今年レコーディングされた収録曲の再録ヴァージョンということらしいです。

 

01 CODE
02 TOUCH
03 LAY YOU DOWN
04 PROMISE IN LOVE
05 WARRIOR
06 MADE FOR LOVE
07 SAVE YOUR LOVE FOR ME
08 THE GREATER GOOD
09 BLACKMAGIC
10 DETROIT LOVELETTER
11 LOVE CONVERSATION
12 BEAUTY
13 NO TELLIN’ (I NEED YOU)
14 BLACKMAGIC (THE BROOKLYN SESSIONS)
15 CODE (THE BROOKLYN SESSIONS)
16 MADE FOR LOVE (THE BROOKLYN SESSIONS)
17 SAVE YOUR LOVE FOR ME (THE BROOKLYN SESSIONS)


José James - Save Your Love For Me (The Brooklyn Sessions) (Official Audio)

 

Charlie Haden With Michael Brecker チャリー・ヘイデン ウィズ マイケル・ブレッカー American Dreams

M・ブレッカーとB・メルドーのバラードが聴きたいときは

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チャーリー・ヘイデンのリーダーアルバムながら、

ストリングス・アレンジに、アラン・ブロードベント、ヴィンス・メンドーサが

関わっているだけあって、上質で優雅なサウンドが心地よく、何と言っても、

マイケル・ブレッカーが、

そして、ブラッド・メルドー

甘いバラードプレイを惜しげなく展開しています。

こんな甘い二人を、全編通して聴けるアルバムは他にないのでは。珍しい!

 

誰の企画なんでしょうね。

チャーリー・ヘイデンの発案だとしたら、彼に感謝です。

ヘイデンらしい選曲ではあるのですが、

演奏自体は、いわゆるヘイデンらしさはあまり全面に出ず、主役という感じがしない。

ただ、ただ、ブレッカーとメルドーが気持ちよく、

歌っているアルバムと言いましょうか、不思議なアルバムではありますが、

とにかく、癒やされます。

 

ジャケットが今ひとつ、というのが唯一の欠点くらいで、

気負いなく、ひたすら、心地よい音楽の揺りかごに身を委ねるには、

最適なアルバムではないかと。ご推薦します。

 

Charlie Haden (b)
Michael Brecker (ts)
Brad Mehldau (p)
Brian Blade (ds)

Recorded 2002

 

1. American Dreams
2. Travel
3. No Lonely Nights
4. It Might Be You
5. Prism
6. America the Beautiful
7. Nightfall
8. Ron's Place
9. Bittersweet
10. Young and Foolish
11. Bird Food
12. Sotto Voce
13. Love Like Ours

 


Travels (Instrumental)

 

 

JOSE JAMES ホセ・ジェイムズ BLACKMAGIC

COOL! SOULFUL!

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酷暑が続きますが、

冷房がよく効いた車で、街中をCoolに走り抜けながら、

聴きたいアルバム、「Blackmagic」

 

正直、雑味のあるロバート・グラスパーより、

このホセ・ジェイムズの感性の方が、

私には合っている気がする。

ホセは、いろいろ実験的、刺激的な挑戦もしているかもしれないが、

基本、この人の持ち味というのは、

身の回りに溢れる様々な音楽的刺激や出会いを経ながらも、

一旦、自分のフィルターで、余分なものを切り落として、シェイプアップできる

ピュアで強力な編集力があるような気がするのである。

どのような編集の仕方が彼の特徴なのかを考えたとき、

やはり、それは彼の基底にある「ソウルフル」な美的感覚ともいうべきもの。

だから、どの曲を聴いても、一本筋が通っている。ブレていないのである。

このアルバムは、彼のその本性を探る上で、非常に重要な作品だと思う。

 

彼が尊敬するアーティストの一人として、ビル・ウィザーズがいるが、

(これも大好きな作品「リー・オン・ミー」は、ビルへのトリビュート作品)

少し長い引用になるが、彼の次の言葉に、

彼がどういう音楽の嗜好性を持っているかを知る手がかりになると思う。

 

「ビル・ウィザースと会えたことは、僕の人生の中でとても重要なことだった。彼はまさしく天才で、これまでに会った人の中で最もクールな人の一人だね。音楽学校で学んだよりも、ライヴを10年やるよりも、彼と過ごした1時間で学んだことの方が遥かに多かった。彼の曲は皆に愛されているし、優れたソングライターなら誰でも、ポール・マッカートニースティーヴィー・ワンダージョニ・ミッチェルスモーキー・ロビンソンキャロル・キングレナード・コーエンブルース・スプリングスティーンボブ・ディランポール・サイモンエルトン・ジョンビリー・ジョエルら偉大な人たちとビルが肩を並べていることを知っている。それに彼は素晴らしいシンガ―でもあり、ファンク、シンガー・ソングライター、ブルース、R&B、そしてゴスペルをブレンドした、洗練されたサウンドを開発した人物でもある。僕の選んだ曲のリストをビルに見せたところ、彼はそれをとても気に入ってくれた。彼の音楽がいまだに世界中の人々の生活や心の中にその居場所を持っていて、僕たちみんなが彼の人生と才能を称えていることに喜んでくれているのだと思う。」 

 

01. Code (feat. Flying Lotus)
02. Touch
03. Lay You Down
04. Promise In Love (feat. DJ Mitsu the Beats)
05. Warrior
06. Made for Love (feat. Flying Lotus)
07. Save Your Love for Me
08. The Greater Good
09. Blackmagic (feat. Flying Lotus)
10. Detroit Loveletter (feat. Moodyman)
11. Love Conversation (feat. Jordana De Lovely)
12. Beauty
13. No Tellin'
14. The Light


José James - BEAUTY


José James - PROMISE IN LOVE

 

Chick Corea チック・コリア Return To Forever

何十年ぶりに聴いてみたら

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このアルバムジャケットのアートワークの持つ、

強い訴求力は、あまりにも象徴的でわかりやすいため、

ジャケットを見ただけで、聴いたような感覚に陥り、

まず、トレーに乗せることのないアルバムの一つである。

 

かつて、LPレコードをレンタルして、カセットに録音して聴いていた時代があった。

このアルバムも、若かりし頃、レコード所有ではなく、カセットに録音したものを、

なんども何度も繰り返して聴いていた記憶がある。

だから、全ての曲について、そのメロディや即興の微細を記憶しているのは、

勿論であるが、曲の順番や曲間の佇まい、流れといった作品全体の移ろいに到るまで、

本当に、微に入り細に入り丁寧に聴いていたんだなぁと、

何十年ぶりに聴いて、改めて認識した。

 

あまりに心に沁みてくるのである。

チック・コリアの原点が詰まっている。素晴らしいの一言に尽きる。

 

こうした若い頃、繰り返し聴いた作品というのは、

時折、取り出して聴いて懐かしむものだが、こと、このアルバムに関しては、

冒頭に書いたように、ジャケットを見ただけで、まぁいいやと思ってしまうので、

本当に、数十年ぶりに聴いたわけであるが、

とても新鮮というか、ある意味、自分の音楽遍歴を総括してくれるような力を

持った重要なアルバムであることを思い知らされた。

 

私は、ハンコックとチック・コリアどちら派?と聴かれたら、

迷わず、ハンコックと言うリスナーであるが、それは、反面、

チック・コリアはキーボーディストとしては外せない存在であることを

認めざるをえないことの裏返しであって、

ある意味チック・コリアファンへの対抗心のようなところもある。

 

食わず嫌い、知ったかぶり、先入観といった言葉があるが、

やはり、歴史的名盤といわれるものは、素直な気持ちで、無心で聴いてみるものだと

つくづく思った次第です。

 

 Originally released in 1972 - recorded at 2nd and 3rd February,1972.

 

  1. Return to Forever
  2. Crystal Silence
  3. What Games Shall We Play Today?
  4. Sometime Ago / La Fiesta

 

 

 

 

BILL FRISELL ビル・フリゼール Valentine

イキのいいフリーゼルが聴けます

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このアルバムは、販売サイトの情報によると、

このユニットによる作品を残しておきたいという、フリーゼルの強い希望で

レコーディングに至ったと紹介されている。

 

トーマス・モーガン、ルディ・ロイストンという息の合ったメンバーとの

スポンティニアスな演奏は、緊張感もあるが、

ある意味ビシッと「ハマっている」感じがとても伝わってくる。

もう少し説明すると、

三人の会話は、とてもフランクで、気儘なように聴こえるのだが、

実はお互いの語りによく耳を傾け、一つの物語を、繊細に、丁寧に、

創り込んでいる。

蜜月な三者の関係性だからこその成果であろう。

 

フリーゼルのギター自体が、個性的で非常に主張性が強いので、

従来の彼のアルバムではそれがあまりに鼻について、聴く気が失せる作品もあったが、

この作品は、ストレートに三者インタープレイが、訥々と繰り広げられており、

ジャズのテイストも強く、私にとって、イキのいいフリーゼルが聴けた満足感がある。

 

オススメは、7曲目、ビリー・ストレイホーンの「A Flower Is a Lovesome Thing」と

11曲目、バート・バカラックの「What the World Need Now is Love」。

解釈がシンプルながら、内面に潜む静かな情念と興奮がある。

 

Bill Frisell(g)
Thomas Morgan(b)
Rudy Royston(ds)

 

01. Baba Drame
02. Hour Glass
03. Valentine
04. Levees
05. Winter Always Turns to Spring
06. Keep Your Eyes Open
07. A Flower is a Lovesome Thing
08. Electricity
09. Wagon Wheels
10. Aunt Mary
11. What the World Need Now is Love
12. Where Do We Go?
13. We Shall Overcome

 


A Flower Is A Lovesome Thing


Bill Frisell Trio - What The World Needs Now

 

Herbie Hancock ハービー・ハンコック  Sunlight

最高にハッピーなハンコック!

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アルトサックス奏者、加納奈美さんが、

「本日のウォーキングのお供、久々に聴いたけどやっぱいい〜」
 
と呟いた本作。
 
 
元気を出して、前を向いて歩こうという気分にさせてくれる、

私にとっても、とても大切な一枚。

 

表題曲の「Snulight」には、いつも勇気づけられる。

この曲を聴くと、いつも、

燦々の太陽がきらめく中、

一旦立ち止まって、深呼吸した後、

眩しい空を見上げ、遥か彼方の地平線に向かって、

とてもハッピーな気分で、ゆっくり歩いていく感じがするのである。

 

ジャズファンが嫌う、ヴォコーダーを使ってハンコックが歌う歌詞の意味は

よく知らないが、「I Thuught It Was You」にしろ、「Sunlight」にしろ、

前向きな明るさに満ちている。

こうした、ハンコックの陽性の一面や、素直さが大好きだ。

 

そして2曲目の「Come Running To Me」も、

現代版ファンク「Speak Like A Child」と言ってもいいような、

とても洗練されたアレンジ、そして、ハンコックのローズソロが素晴らしい。

 

ただ、気にいらないのは、最後の大曲「Good Quetion」。

ジャコ・パス、トニー・ウィリアムスが入って壮絶な演奏となっており、

これはこれで凄いのだが、このアルバムには、全くそぐわない。

こういう無頓着なところもハンコックらしいといえばらしいのですが・・・

 

Herbie Hancock(key,vo)

1.
Leon"Ndugu"Chancler(ds)
Byron Miller(b)
Wah Wah Watoson(g)
Ray Parker,Jr(g)
Raul Rekow(conga)

2.
James Levi(ds)
Paul Jackson(b)
Bill Summers(per)
Baba Duru(tablas)
Raul Rekow(congas)

3.
James Levi(ds)
Paul Jackson(b)
Ray Perker,Jr(g)
Bill Summers(per)
Bannie Maupin(ss)

4.
Hervey Mason(ds)
Paul Jackson(b)
Bill Summers(per)
Raul Rekow(congas)

5.
Tony Williams(ds)
Jaco Pastorius(b)
Bill Summers(per)
Raul Rekow(congas)
Patrick Gleeson(aditional synth)

1978 San Francisco

 

1.I Thought It Was You

2.Come Running To Me

3.Sunlight

4.No Means Yes

5.Good Question

 


Herbie Hancock - Sunlight

 

WOLFGANG MUTHSPIEL ウォルフガング・ムースピール ANGULAR BLUES

今年はギタートリオの当たり年?

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今年一番のヘビーローテーションのアルバム。

もっと早く、紹介したかったのだが、あまりに日常の生活に溶け込んでいて、

改めて文章にして整理するのがなんとなく躊躇われたアルバムである。

 

このムースピールは、非常にシンプルで、力強く、わかりやすい。

ストレートに彼の演奏家としての魅力に触れることができるような気がする。

ECM然とした感じがしないのもまた良い。

 

勿論、前作の「Where the river goes」や、その前の「Rising grace」も

サウンドの独特な透明感や広がりが素晴らしく、愛聴盤になっているが、

今回の作品は、繰り返しになるが、素直にわかりやすく感情移入できるのである。

とても、自然に心の中にフワッーと入ってくる気持ち良さとでも言ったら良いのか。

 

それにしても、今年は、ジョン・スコフィールドの「Swallow tales」、

そしてまだ、紹介していない、ビル・フリーゼルの「Valentine」など、

ギタートリオの真髄が聴ける当たり年である。

いずれも、掛け値無しのストレートアヘッドなギタートリオの醍醐味を

十分に味わうことができる作品ばかりである。

 

Wolfgang Muthspiel (acoustic guitar on 1-3) (electric guitar on 4-9)
Scott Colley (double bass except 8)
Brian Blade (drums except 8)

1. Wondering
2. Angular Blues
3. Huttengriffe
4. Camino
5. Ride
6. Everything I Love
7. Kanon in 6/8
8. Solo Kanon in 5/4 (solo electric guitar)
9. I'll Remember April

 

2018年8月Studio Dede(東京 上池袋)録音

 

CDの演奏ではないが、コロナ禍に演奏されたムスピールの美しい曲「Camino


Wolfgang Muthspiel plays "Camino"