JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

HERBIE HANCOCK ハービー・ハンコック THRUST

なんてったってアイドル

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ロリンズに続いて、なんてったってアイドルの二人目、ハービー・ハンコック

ハンコックの何から紹介しようと、随分と悩んだのですが、

この「スラスト(突撃)」に決めました。

 

1973年の「HEAD HUNTERS」、そして1974年の本作、

1975年の「MAN CHILDS」いずれも傑作であり、甲乙付け難く、

一時、「MAN CHILDS」にしようと決めましたが、思い直して、「THRUST」に。

このアルバムは、4曲全てが素晴らしく、

アルバム全体の展開、構成も良く、バランスが取れている。

「HEAD HUNTERS」のハービー・メイソンのヘビーで機械のようなドラミングも

大好きだけど、本作のマイク・クラークの叩き出す変則的・複雑なビートは、

ヘッドハンターズというグループの新たな魅力を生み出している。

非常にセンシティブというか、複雑だけど体の奥底から響いてくるグルーブ感が

より強烈になった感じがあり、それが半端なく格好良い。

 

思うに、マイルスが60年代後半から提示した4ビートからの解放の路線を

ハンコック、ザビヌル、チック・コリアがそれぞれ、ヘッド・ハンターズ、WR、

RTFというグループによって、素晴らしい成果に結実させていったわけだが、

特に、ハンコックのこの一連のファンク路線は、非常にエキセントリックで

ある意味、「わかりやすさ」を備えていたため、三つのグループの中でも、

これまでジャズに興味を持たない層にも広くアピールできたという意味も含め、

ジャズのポテンシャルを実質的に高め、広げることができた

一番の成功例ではなかったか、と思うのです。

マイルスが夢見ていたことが結実したと言う感じ・・・。

復帰後のマイルスもいいが、この三つのグループエキスプレッションには、

到底かなわないというのが、私の思いなのです。

 

ハンコックという人は、ザビヌルやチックコリアと並んで、真のイノベーターであり、

卓越した感性を持ったパフォーマーでもある稀有なアーティストである。

ボコーダーディスコサウンド、はたまた、ヒップ・ホップを取り入れたり、

そんなハンコックを毛嫌いする人も少なからずいるが、

キーボードを志す者にとって、やはりその才能とセンスは憧れであり、

敬意を表さずにはいられない存在である。

なんてったってアイドルなのです。

 

 

THRUST

1. Palm Greas

2. Actual Proof

3. Butterfly

4. Spank-A-Lee

 

 

Herbie Hancock (Fender Rhodes piano, Clavinet, synthesizer);

Bennie Maupin (soprano & tenor saxophones, saxello, alto flute, bass clarinet);

Paul Jackson (electric bass);

Mike Clarke (drums);

Bill Summers (percussion).

1974 CBS, Inc./Manufactured by Columbia Records/CBS Inc.