JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

John Abercrombie  ジョン・アバークロンビー 39 Steps

軽音楽部の思い出

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4年の大学生活は、あっという間であった。

憧れの下宿生活、

軽音楽部でたむろし、ジャズ喫茶のバイトに明け暮れる毎日。

聴くもの、食べるもの、都会の匂い、原付バイク、何もかもが新鮮で、

一つ一つが、カラフルな色合いで輝いて見えた時もあれば、

何もかもに幻滅し、自己嫌悪のループにハマるブルーな時もあった。

ただ、今思い起こすと、とても大切で濃密な時間であったことは間違いない。

 

私が所属していた軽音楽部は、ジャズやフュージョンが主流で、

楽器の腕に自信がある者や、音楽にこだわりを持った輩が集まるクラブで、

少々面倒くさい感じというか、かげりのあるサークルでもあったような気がする。

私は、キーボードプレーヤーとして、複数のコンボに参加し、

自分のリーダーバンドも作ったし、部の看板でもあった、

ビックバンドにも所属していた。

 

部員は、圧倒的にギタリストが多く、

当時はジョン・スコやマイク・スターン、メセニーのコピーパンドが多かった。

そんな中、2年先輩のギターのN島先輩が私をメンバーに誘ってくれた。

N先輩のバンドでは、なんとジョン・アバの「アーケイド」を取り上げ、

演奏していたことを、よく覚えている。

当時、アルバムに参加していたリッチー・バイラークが非常に勢いのある頃で、

私も、バイラークのピアノを一所懸命コピーした。

もちろん、満足のいく演奏には程遠かったが、

あのECMの曲を演っているという、自負と興奮があった。

 

「アーケイド」の頃のバイラークと一緒に活動していたジョン・アバの諸作を

聴くと、当時の甘酸っぱい思い出が蘇ってくる。

そして、この頃のジョン・アバは溌剌として、頑張っていたなぁと思うのである。

 

そして、自分も就職して、結婚して、子供も成長したわけだが、

このジョン・アバカルテットの演奏「39 Steps」も、

明らかに変化していた。

大人の・淡い・成熟した音楽になっていた。

何より、コープランドが参加して、「ジョン・アバにはこの人しかいない」と

思うほどのピッタリ感!

ずっと浸っていたい、クセになる音場を創り出している。

 

今は亡き、ジョン・アバ。

このアルバムを聴くと、不思議にも、いつでも、若かりし自分と、今の自分が

時空を超えて混じり合うような感覚を覚えさせてくれるのである。

 

ノスタルジーと安堵感とやるせなさと・・・

 

John Abercrombie (g)
Marc Copland (p)
Drew Gress (double b)
Joey Baron (ds)

Rec. April 2013, NY

 

1. Vertigo (Abercrombie) 
2. LST (Copland) 
3. Bacharach (Abercrombie) 
4. Greenstreet (Abercrombie) 
5. As It Stands (Abercrombie) 
6. Spellbound (Copland) 
7. Another Ralph’s (Abercrombie) 
8. Shadow Of A Doubt (Abercrombie / Copland / Gress / Baron) 
9. 39 Steps (Abercrombie) 
10. Melancholy Baby (Ernie Burnett / George A. Norton)

 

同メンバーによる貴重な素晴らしいライブ映像です!


www.youtube.com