JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

Jon Secada & Gonzalo Rubalcaba ジョン・セダカ&ゴンサロ・ルバルカバ Solos

孤と孤の対峙 Solos

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明らかに、アルバムジャケットの構図は、

トニー・ベネットビル・エバンスのあの名作デュオ・アルバムを意識している。

 

恥ずかしながら、このジョン・セダカというミュージシャンを、

これまで全く知らなかった。

グラミー賞を2回獲得し、2.000万枚のアルバムのセールスを記録していると言う

キューバ出身のシンガーソングライターなのだそうだ。

ジョン・セダカの歌声を聴いた時、非常にキューバ音楽のフレーバーで、

ねちっこいような声に、最初は、少しの抵抗を感じたのであるが、

聴き込むにつれ、不思議にこのアクの強さが、癖になり、身に沁みてきたのである。

 

それは、何よりジョン・セダカの歌声が、ゴンサロとの緊張感あるやり取りにより、

引き立っていることは言うまでもない。

まさに、タイトル「Solos」が表しているように、

それぞれが、自立し、完成された「個」と「個」の、

妥協なき「せめぎ合い」であり、「交歓」であり、「信頼」である。

 

トニー・ベネットビル・エバンスのデュオ作品を意識したとは思われるが、

トニー・ベネットーとエバンスの場合、

お互いの完成された音楽性に、歩み寄る感覚がある様な気がするのに対して、

この作品の対峙は、もっと対等な立場で、「孤」と「孤」が遠慮せず、

自己主張してぶつかり合ったような、凄まじさと緊張感を感じる。

 

ゴンサロのピアノは、いつも畏れ多くて、あまり聴かない方ではあるのだが、

非常に硬質で、正確無比なフィンガリングとリズムに裏つげられた叙情性は、

この作品にも、遺憾無く発揮されている。

誠に素晴らしいピアニズムである。改めて評価したい。

 

二度と再演できない、二人の一回性の交歓の軌跡。

久しぶりに、ピアノとボーカルのデュオの素晴らしさを、

思う存分楽しむことができた。

今年聴いたアルバムの中で、今のところ、一番衝撃を受けた作品である。

 

Jon Secada(vo)

Gonzalo Rubalcaba(p)

 

01.  Rosa Mustia
02. Contigo en la Distancia
03. Soy Tan Feliz
04. Me Faltabas Tú
05. Tú Me Acostumbraste
06. Dime Que Me Amas
07. Longina
08. Delirio
09. La Tarde
10. Hasta Mañana Vida Mía

 

あまりの素晴らしさに、言葉を失った冒頭曲「Rosa Mustia」


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