底知れぬメルドー
メルドー自身が、この作品の音楽性について、
「ブラームスがある日起きたらブルースになっていたようなイメージだ」
と書いてるようです。
ブラームスと言われて、思い出したのが、
若きグレーン・グールドが録音した、
ブラームス晩年の作品から間奏曲ばかりを集めた曲集「 10 Intermezzi 」!。
なんだか、少し恥ずかしそうに、躊躇しながら、
ブラームスを弾き込むグールドの静かな語り口が思い浮かぶ。
メルドーのブラームスに対する憧憬と、
オルフェウス室内楽団に対する敬意にあふれた眼差しを感じるとともに、
壮麗かつ端正なアンサンブルに、なんとも控えめでありながら、
ジャズのテイストをサラリと注入する、
メルドーのセンスと底知れぬ才能に、改めて、惚れ直した。
こういう、気を衒わない、素直で遠慮がちさえあるアプローチにこそ、
メルドーの本質の一面が、垣間見れて非常に興味深い。
聴く度に、印象が変化し、深まっていく感じがする。
この音楽はやはり、メルドーの音楽なのである。
そして、メルドーは今や本当に孤高である。
BRAD MEHLDAU (p)
ORPHEUS CHAMBER ORCHESTRA :
1.Theme
2.Variation 1
3.Variation 2
4.Variation 3
5.Variation 4
6.Variation 5
7.Variation 6
8.Variation 7
9.Variation 8
10.Variation 9
11.Variation 10
12.Variation 11
13.Cadenza
14.Postlude
15.Encore: Variations "X" & "Y"