マルグリュー・ミラーの打鍵
ジャズピアノの個性として、
一聴して、わかりやすいのはピアノタッチである。
勿論、ピアノの種類や調律の仕方によっても、
タッチレスポンスがかなり違い、奏でられる音質も変わってくる。
私の好みの音は、比較的、軽い打弦で、硬質でありながら、
まろやかな深みのある音が紡ぎ出されるような感じの、
タッチレスポンスを軽めに調整したスタインウェイである。
(とはいうものの、生涯に数度しか弾いたことがないが・・・)
余談だが、キース・ジャレットの調律は、
超軽めのタッチレスポンスであると聞いている。
ピアノタッチと聞いて、いつも頭に浮かぶのが、
コツン、カツンとハンマーが弦を叩く音さえもイメージできるような、
強い打鍵の持ち主、マルグリュー・ミラーである。
ミラーのピアノは、一音一音の粒立ちがクリアーで、
正確無比なフィンガリングと相まって、ピアノを最大限に鳴らすことのできる、
まさに、ピアノのヴァーチュオーゾである。
大好きなバラード曲「Dreamsville」を聴いて見てください。
一音一音がキラキラ煌めいていて、コロコロ転がっていくような感覚。
こんな風に、ソロを弾いて見たいものだ。
このアルバムは2000年に録音されたライブ盤である。
成熟したミラーの堂々たるソロパフォーマンスであり、淡々と奏でられるのであるが、
ミラーの熱き内なるパッションが伝わってくるような、傑作である。
それにしても、ミラーのピアノは凄い。
正統であり、ダイナミックであり、惜しみない表現力で、
弾ききるミラーのプロ根性には、頭が下がるのである。
1 Jordu
2 Con Alma
3 Carousel
4 My Old Flame
5 Dreamsville
6 Yardbird Suite
7 Body & Soul
8 Giant Steps