JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

Miles Davis マイルス・テービス 苦しんでベスト3(第1回)

偉大なアーテイストのディスコグラフィーから、

あえて3枚だけ選ぶというコーナー「苦しんでベスト3」第1回目です。

こういう企画嫌いな人もいるだろうなぁ・・・・、でもあえて。

 

1回目は捨て作・駄作の少ない、マイルス・デービス様。

これ程、3作に絞り込むことが、難しく、そして悩ましい、

また人によってその結果が大きく異なるアーティストはいないであろう。

せめてマイルスだけは、ベスト5にしたかったのですが、心を鬼にして、

3枚を厳選しました。

言わずと知れた名盤ですので、ジャケットのアートワークのみでご紹介。

 

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セレクトの決め手は次の3点。

・進化して止まないマイルスの大きな変節点となるアルバム

・アルバム全体から感じられるトータルな訴求力

・次代への影響力

 

個人的には、ライブ盤の「マイ・ファニー・バレンタイン」(無人島に一枚持っていけ

るとしたらこの一枚)や「サムデイ・プリンス・ウィル・カム」、「ソーサラ」や「オ

ン・ザ・コーナー」の方が思入れが強く、好みなのだが、ベスト3の作品は、改めて聴

き直しても、やはりその存在感、風格、影響力の点から、群を抜いているように思う。

ただ、このベスト3から、さらに一枚に絞れと言われたら・・・、

はっきりと言います。

「断る」。

 

こんなことくだらんと思う方も、是非、あなたのベスト3を教えてください。

 

 

Perico Sambeat Big Band ペリーコ・サンベアット Voces

現代ビックバンドの魅力を余すところなく・・・

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スペインのサックス奏者、ペリーコ・サンベアットが率いるビッグバンドの作品(2015年作)。

スペインの歌姫シルビア・ペレス・クルースと南米エクアドルを拠点に活動するビクト

リヤ・ピラトビッチの二人のボーカリストをフャーチャーするなど、全体のアルバム構

成が素晴らしく、非常に緻密に、丁寧に制作されており、これだけの作品が、それほど

注目されないのは、惜しい限りだ。

ビックバンドの魅力はやはり、アンサンブルの妙味なのだが、ボーカルやギターなどの

ソロもとてもうまく全体の構成に取り込まれており、洗練された広がりと重層感が非常

に心地よい。

特に、3曲目の「Jardín de Luz」。ピラトビッチの憂いのある歌声や、静かなアンサン

ブル、ペリーコの情感溢れたソロ、本当に時の経つのを忘れるくらい引き込まれてしま

う。マリア・シュナイダーの「Tompson Fields」を聴いた時の感動に近い。

普段気づかない場所に仕舞われていた宝石箱を見つけたような気がする。

現代ビックバンドを代表するアルバムです、是非皆さんに聴いて欲しい。

今気付いたんですが、パーカッションにアントニオ・サンチェスが参加している!

 

1.- La Voz del Viento. 7:13
2.- Viejo Mundo. 6:54
3.- Jardín de Luz. 7:28
4.- La Sombra de Ciro. 7:45
5.- Matilda. 8:42
6.- Triptik. 6:42
7.- Rosa dels Vents. 6:44
8.- Memoria de un Sueño. 7:36

Alto Saxophone, Clarinet – Guim García-Balasch
Alto Saxophone, Soprano Saxophone, Flute, Vibraphone, – Perico Sambeat
Baritone Saxophone – Joan Chamorro
Bass Trombone – Darío García
Double Bass – Martin Leiton (tracks: Martín Leiton)
Drums – Marc Miralta
Guitar – André Fernandes
Percussion – Antonio Sánchez
Piano – Joan Monné
Tenor Saxophone – Enrique Oliver, Vicente Macian (tracks: Vicente Macián)
Trombone – Carlos Martin (2), Toni Belenguer, Víctor Correa
Trumpet, Flugelhorn – Andrea Motis, David Martinez, Julián Sánchez, Voro Garcia (tracks: Voro García)
Vocals – Silvia Perez Cruz (tracks: 1,5), Viktorija Pilatovic (tracks: 3,7)

 


Jardín de Luz (feat. Viktorija Pilatovic)

 

wether report ウェザー・リポート/night passage

稀代のオーガナイザー ザビヌル

 

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ウェザー・リポート

ジョー・ザビヌルという天才が生涯をかけて、

彼の世界観、音楽観を体現する舞台となった伝説のグループである。

このグループの凄さ、というより、ジョー・ザビヌルというウィーン出身の

尋常でない一人のオーガナイザーが、ジャズという音楽の可能性を

どのように切り開いていったのかは、

ウェザーリポートの真実/山下邦彦 編』読んで頂くと改めて再確認できる。

その驚くべき楽曲の制作手法、特異なメロディメーク、リズムの斬新さ・キレ、

オーケストレーションの妙技、ライブパフォーマンスのクオリティなど、

どれをとっても、他の追従を許さない、圧倒的な存在感を遺したグループである。

 

ジャズといえば、セッションという場におけるスポンティニアスな魅力が

多く語られるものだが、エリントンを初めとする様々なビックバンドや、

ギル・エバンスとマイルスによるコラボ、MJQ、RTF、

ヘッド・ハンターズ、パット・メセニーグループなど、緻密に練り上げられた、

グループエキスプレッションの系譜も、脈々と受け継がれてきており、

いずれの試みも、緻密かつ物語性のある壮大なドラマを創造してきた。

WR(wether report)は商業的にはそれほど成功しなかったかもしれないが、

ザビヌルという天才が、自らの天分と独創性を思う存分に発揮し、

革新的なジャズの地平を切り開いていった点は、

もっともっと評価されていいと思う。

 

エリントン、モンク、ミンガス、マイルスといったトータルオーガナイザーと

肩を並べる力量を持った孤高のミュージシャン、ザビヌル。

その魅力を語るに、尽きることはない。

 

   Joe Zawinul / keyboards, co-producer
   Wayne Shorter / saxophones
   Jaco Pastorius / bass, co-producer
   Peter Erskine / drums
   Robert Thomas Jr. / hand drums

 

1. Night Passage (6:29)

2. Dream Clock (6:26)

3. Port of Entry (5:09)
4. Forlorn (3:55)
5. Rockin' in Rhythm (3:02)

6. Fast City (6:16)
7. Three Views of a Secret (5:50)
8. Madagascar (10:56)
Total Time: 48:03

 

Tracks 1-7 recorded Live July 12-13, 1980 at The Complex in Santa Monica, California.
Track 8 recorded Live in Osaka, Japan.

 


Weather Report - Night Passage 1980

 

 

ペーパーナイフ (アッシュ・オイルレザー)

 

Kai KRISTIANSEN

 

書斎に欲しかったラウンジソファで、オイルレザー(KW-25)の色合いが、年月を経るごとに味が出てきている。

 

W640 D770 H750 SH400 (1P) (mm)

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書斎にあるペーパーナイフ(オットマン付)

 

 

Kurt Elling カート・エリング / Secrets Are The Best Stories

カート・エリング ・ミーツ・ダニーロ・ペレス

 

Kurt Elling カートエリング / Secrets Are The Best Stories

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このアルバムは、聴き手に姿勢を正して聴くことを求める。

部屋の灯りを消して、少し集中して聴いてみよう。

それだけ、聴き重ねるほどに得るものが変化し、

味わいが高まっていく名盤の匂いがする。

 

カート・エリングだからこそ、ダニーロ・ペレス!

ダニーロ・ペレスというピアニストは、どうしてもウェイン・ショーターグループの

要としての印象が強いが、それだけではなく、

非常に多次元な音楽的アプローチが期待できる稀有なピアニストの一人。

このアルバムに見られる学究的とも言える、真面目な音楽の追求は、

この二人だからこそ生まれたものであろう。

ピアニストとしての力量としても申し分なく、

特にピアノタッチのセンスはこのアルバムにも存分に発揮されている。

もっともっと評価されていい、世界でも指折りのピアニストだと思う。

トニー・ベネットビル・エバンスの至宝のデュオのように、

現代の最高峰のコンビネーションが味わえるアルバム。

54歳のペレスと52歳のエリング。円熟期にある二人が、

どのようにこのアルバムを仕上げていったかを想像するだけでも、

エキサイティングである。

 

Secrets Are The Best Stories

Kurt Elling, vocals
Danilo Pérez, piano

1 The Fanfold Hawk (For Franz Wright) 02:43
2 A Certain Continuum 05:07
3 Stays 05:28
4 Gratitude (For Robert Bly) 06:21
5 Stage I 05:04
6 Beloved (For Toni Morrison) 09:32
7 Stages II, III 04:26
8 Song of the Rio Grande (For Oscar and Valeria Martinez-Ramirez) 04:56
9 Rabo de Nube 03:20
10 Esperanto 05:01
11 Epílogo 01:32
Total Runtime 53:30

 


Kurt Elling / Danilo Pérez Duo (STAGE I)