JAZZ遊戯三昧

JAZZ専用スタジオ「Studio 303」オススメのジャズアルバムをご紹介!

   

BUTCHER BROWN ブッチャー・ブラウン Letters From The Atlantic

限りなき探求 ジャズの行く末

このブッチャー・ブラウンの新作は、

正直、私の好みのど真ん中である。

 

最近、憧れのジェラルド・クレイトンが、

「Ones&Twos」という非常に探求的な

問題作を発表した。

クレイトンの洗練かつ華麗な即興プレイは、

殆ど表に出ず、影を潜め、

テーマのモチーフの呈示に終始した

アルバム作りには、本当に面食らった。

演奏の即興性の探求ではなく、

楽曲のテーマ性の新たな局面の提示

という側面に重きを置いている。

クレイトン自身のアーティストとしての気概

に触れた気がする。

非常に挑戦的で、実験的なアプローチ。

ただ、個人的には、あまりに多様で、

聴いたことのない新しいテーマ性の呈示に、

難解さを感じ、

まだ聴き足らないのかもしれないが、

感情移入できなかった。

 

一方、ブラウンの新作も

ジャズ音楽の新たな地平を切り拓く、

探究心に満ちており、

時代を先取りしたクールさが充満している。

ただ、クレイトンの新作と違うところは、

どこかノスタルジックで、小難しくなく、

すんなりと心の中に入ってくる点である。

聴いたことがあるようなという既聴感の中に、

新しいジャズの地平が提示されている。

そんな感じがする。

非常に癒されながらも、

とてもウキウキ高揚した気分で、

あっという間に全編聴き通すことができた。

 

私は常々、

「軽さ」と「重さ=確かさ」を兼ね備えた、

バランス感覚の優れた

音楽が好きと言ってきているが、

そのバランス感覚の素晴らしさが、

このアルバムには溢れている。

 

ジャズへの憧憬と敬意をベースに

繰り広げられる新時代の

クロスオーバーミュージックの傑作と言いたい。

 

    1.Seagulls (01:44) 

    2.Unwind feat Melanie Charles (03:57) 

    3.Backline (03:11) 

    4.Right Here feat Leanor Wolf (01:33) 

    5.Change in Weather feat Mia Gladstone (03:30) 

    6.Dinorah Dinorah (04:39) 

    7.I Remember feat Yaya Bey (04:12) 

    8. Ibiza (04:36) 

     9. Hold You feat Victoria Victoria (04:00) 

     10. Montrose Forest feat Nicholas Payton (03:43) 

     11. Something New About You feat Neal Francis (03:43) 

     12. Infant Eyes (03:30) 

 


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