私の宝物 円熟のスタンダーズ

ゲイリー・ピーコックそしてジャック・ディジョネットを従えた
キースのピアノトリオも、
もう生で聴くことはできなくなってしまった。
寂しい。
このアルバムは、ホールではなく、
小箱でのライブとして、極めて貴重な歴史的音源であり、
3日間のライブ完全収録のこの6枚組のボックスは、
私にとって宝物である。
このアルバムの一番好きなところ、ゾクゾクするところは、
各スタンダードの曲の導入部分、即ちキースによるルバート。
最初の一音でノックアウトされてしまう。
これだけ美しいルバートを聴かせることのできる
ピアニストは他にいない。
ピアノソロのアルバムと違って、
いつかはトリオという三者のフォーマットになる時までの
時限的なピアノだけによる静かな語りだからこそ、
緊張感があり、愛おしい。
スタンダーズ結成後、10年という月日を経て、
円熟のパフォーマンスと言っても良い。
録音もいいし、選曲も重なっておらず、
キースとしても相当気合が入っていたのではと想像される。
また、かなり久しぶりに、聴き返してみたのであるが、
ゲイリー・ピーコックのベースの素晴らしさにも、
改めて気付かされた。
地を這うようなイープンなウォーキングは、
キースの端正でエモーショナルなソロをしっかりと支えている。
Keith Jarrett (p)
Gary Peacock (b)
Jack DeJohnette (ds)
Recorded Live at the Blue Note , New York on June 3/ 4/ 5, 1994 
CD1
01. In Your Own Sweet Way (17:59) 
02. How Long Has This Been Going On? (9:09) 
03. While We're Young (11:01) 
04. Partners (8:28) 
05. No Lonely Nights (7:16) 
06. Now's the Time (8:30) 
07. Lament (7:09) 
CD2
01. I'm Old Fashioned (10:36) 
02. Everything Happens to Me (11:49) 
03. If I Were a Bell (11:26) 
04. In the Wee Small Hours of the Morning (8:45) 
05. Oleo (8:03) 
06. Alone Together (11:20) 
07. Skylark (6:36) 
08. Things Ain't What They Used to Be (7:53) 
CD3
01. Autumn Leaves (26:43) 
02. Days of Wine and Roses (11:30) 
03. Bop-Be (6:18) 
04. You Don't Know What Love Is/Muezzi (20:31) 
05. When I Fall in Love (5:42) 
CD4
01. How Deep Is the Ocean? (11:25) 
02. Close Your Eyes (9:27) 
03. Imagination (8:44) 
04. I'll Close My Eyes (10:11) 
05. I Fall in Love Too Easily/The Fire Within (27:08) 
06. Things Ain't What They Used to Be (8:58) 
CD5
01. On Green Dolphin Street/Joy Ride (21:07) 
02. My Romance (9:40) 
03. Don't Ever Leave Me (5:08) 
04. You'd Be So Nice to Come Home To (6:58) 
05. Valse Bleue (7:03) 
06. No Lonely Nights (6:21) 
07. Straight, No Chaser (6:13) 
CD6
01. Time After Time (12:36) 
02. For Heaven's Sake (11:02) 
03. Partners (8:56) 
04. Desert Sun (28:32) 
05. How About You? (7:11) 
途轍もなく美しい For Heaven's Sake