企画力のウィル
最近は、あまり気に入った新譜がないので、
そういう時は、
昨年とても気になっていたのに紹介できなかった作品を、
いくつか紹介していきたい。
正直、それほど、ウィル・ヴィンソンのアルト・サックスが好きなわけではないが、
彼の精力的な活動、ネットワーク、そして、アルバムの企画力の面白さには、
やはりいつも興味が湧いてしまう。
ギラッド・ヘクセルマン、アントニオ・サンチェスと組んだ、
最新作の「トリオ・グランデ」も聴く前から、興奮するようなワクワク感があったが、
この作品の参加アーティストのクレジットを見るだけでも、
聴かずにはおれない。
よくもこれだけの豪華なアーテイストに声をかけ、コーディネートし、
さらに単なるセッションに終わらない、非常にセンシティブな、
質の高い楽曲を創り上げている、ウィルの力量には脱帽だ。
このアルバムは、「5人のピアニストとの対峙」がテーマとなっている。
中でも、サリヴァン・フォートナーと、ゴンサロ・ルバルカバとの演奏は、
何か乾いた心に染み渡るような気がして、
いつもは、美しすぎて真っ当すぎてあまり好きでないウィルのアルト音色も
心地よく響いてくる。
サリヴァン・フォートナーのピアノは私好み。
豪華なメンバー、5人のピアニストの配置や進行などから想像される、
落ち着かなさは微塵もなく、非常に上質で、気を衒わない、
純粋なインプロビゼーションの面白さを堪能することができる傑作だと思う。
Will Vinson(As)
[1,2,11] Sullivan Fortner(P)、Matt Brewer(B)、Obed Calvaire(Ds)
[3,4] Tigran Hamasyan(P)、Matt Penman(B)、Billy Hart(Ds)
[5,6] Gerald Clayton(P)、Matt Brewer(B)、Clarence Penn(Ds)
[7,8] Fred Hersch(P)、Rick Rosato(B)、Jochen Rueckert(Ds)
[9] Gonzalo Rubalcaba(P)
[10] Gonzalo Rubalcaba(P)、Larry Grenadier(B)、Eric Harland(Ds)
1. Boogaloo
2. Love Letters
3. Banal Street
4. Oasis
5. I am James Bond
6. Cherry Time
7. Work
8. KW
9. The Way to You
10. That Happened
11. Milestones