JAZZ遊戯三昧

JAZZ専用スタジオ「Studio 303」オススメのジャズアルバムをご紹介!

   

「コード」から「台詞」へ  いま最も先鋭なピアノトリオ 

KRIS DAVIS  クリス・デイヴィス  Run The Gauntlet

今年の新譜ではないが

昨年10月にリリースされた

カナダ出身のピアニスト

クリス・デイビスの作品を紹介したい

 

正直、下記のタイニーデスクの動画を観て

初めてこのアーティストを知ったのだが

只者ではない予感に

久しぶりに興奮してしまった

 

これまで聴いたことのない

アノトリオのスタイル自体が

革新的で印象的であるのは勿論だが

スタイルや曲の構造、展開上の奇抜さだけでない

伝統的なジャズの確かな語法や

演者の卓越した技量に裏付けされた

確かな演奏に説得力があるのである

 

クリス・デイビスについて

少し調べたのだが

とても示唆的な彼女の言葉があった

「もはやコードを弾くのではなく、

 ただセリフを弾くことに決めた」

この言葉は、とてもわかる、共感できるのである

 

ジャズの基本として一般的に

コードプログレッションというものがあり

コードに沿ったメロディや即興、時には

リズムが誘発されてくるのであり

それがジャズらしい醍醐味、安定感を生むのである

ところが、コード進行というルールに

捉われたり、依存し過ぎていると

どうしても演奏がマンネリ化したり

既存のスケールやアドリブに囚われ

文脈から逸脱したような、より自由な

即興の展開に限界を感じてくるものである

 

マイルスが発展させたモード手法も

コード支配からの解放を目指した

より自由な即興の手法の在り方の提示であった

 

クリス・デイビスはそれを

「コード」から「セリフ」という

言い方をしているところが

非常に面白く、センスがある

「台詞(セリフ)」には

ノローグ(独白)とダイアローグ(対話)があるが

その両面性があるところが

音楽的に考えると

とても刺激的な意味合いを持つように思える

 

このピアノトリオでは

まさにモノローグのエレメントと

ダイアローグのエレメントが

素晴らしいバランス感覚で配置されている

 

このトリオの場合

テーマ提示が、しっかり譜面化されている

ところも私的にはとても好ましい

なかなか考えつかないTheme(テーマ)を

提示しているクリスの非凡さにはとても刺激を受ける

 

そして何より、各楽器のソロにおけるアプローチが

コード進行から自由に逸脱し、飛翔し

スポンティニアスなモノローグやダイアローグの

魅力に溢れているところ本当に素晴らしい

 

ベースのロバート・ハースト(懐かしい!)や

今や最高峰のドラマー、ジョナサン・ブレイクといった

最強のサポーターの力量に負うところも

多いとは思うが

グループ全体のデザインは

完全に非凡なクリス・デイビス

ディレクションしており

メンバーもクリスへの確かな信頼感があるのか

実に楽しそうに演奏している

それにしてもジョナサン・ブレイク!

カッコ良すぎる

 

まだ、日本では

それほど知られていないような気もするが

このクリス・デイビス

メルドー以降、最も実験的で

次代への影響力も兼ね備えた

素晴らしい逸材であると感じたのは

私だけであろうか

 

Kris Davis(piano)
Robert Hurst(bass)
Johnathan Blake(drums)

 

1   Run The Gauntlet
2  Softly, As You Wake
3   First Steps
4   Little Footsteps
5   Heavy-Footed
6   Beauty Beneath The Rubble
7   Beauty Beneath The Rubble Meditation
8   Knotweed
9   Coda Queen
10  Dream State
11   Subtones

 

タイニー・デスクの映像。白眉は4曲目の「Run the Gauntlet」


www.youtube.com