JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

MIROSLAV VITOUS ミロスラフ・ビトウス  Infinite Search

なんとも不思議な魅力を持つ、ビトウスの初リーダー作

 

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このアルバム、正直、大好きなんです。

「Bitches Brew」の録音から2ヶ月後くらいに制作された作品なんですけど、

「Bitches Brew」を生み出した時代の勢い、興奮が、後押しして、

奇跡的に創り上げてしまった、ビトウスの初リーター作品にして、最高傑作。

 

何が凄いかといって、まず、メンバー人選の素晴らしさ。

まず、マクラフリンの起用。このマクラフリン異常にカッコいい。

このアルバムを聴いてマクラフリンがいかに偉大かを知ったのでした。

そして、ジョー・ヘンの起用。ウェイン・ショーターじゃないところがミソ。

ジョー・ヘンを起用することで、「Bitches Brew」より、ジャズ感のテイストが強い。

そして、ここでもハンコックの存在は大きい。

ハンコックのフェンダー・ローズが作品全体の気持ちのいい浮遊感を

非常に効果的に演出している。

 

次に、選曲。どの曲も素晴らしい。

1曲目の「Freedom Jazz Dance」でガツンと頭を殴られ、

2曲目の「Mountain In The Clouds」や3曲目の「When Face Gets Pale」で、

ビトウスのコントラバス奏者としてのセンスと力量が存分に発揮されており、

どちらかという牧歌的な雰囲気さえ感じる曲調に、トリップし、

そして、何と言っても、4曲目の表題曲では、

初期のウェザーリポートの輪廻的なニュアンスに心奪われるのです。

 

そして、ジャケットのアートワーク。私は当時LPで所有していたが、

少しエナメル調に輝く白地のジャケットの真ん中が、切り取られていて、

その中にビトウスのモノクロの肖像が覗いているという斬新なデザインが、

とても刺激的で、素敵であった。

 

あと、面白いのがプロデュースが、ハービー・マンだということ。

当時のビトウスのボスだったからと思うが、

ハービー・マンが演奏者として加わっていないところも、何か面白い。

傑作というものは、得てして、製作者が意図しないところで、結実する場合があるが、

この作品は、その最たるものでないか。

1969年という時代の雰囲気と新たな1970年代に向かう不思議な昂揚感を、

これほど奇跡的に、体現し得たケースは珍しい。

 

1: Freedom Jazz Dance 10:54

2: 7:38

4: Infinite Search 6:49

5: I Will Tell Him On You 11:00

6: Epilogue 6:57

 

1969,10,8

Miroslav Vitous (ba)
Joe Henderson (ts) #1,5
Herbie Hancock (ep) #1,3,4,5,6
John McLaughlin (gt) #1,3,4,5,6
Jack DeJohnette (ds) #1,2,3,4,5
Joe Chambers (ds) #6

 


Miroslav Vitous Freedom Jazz Dance