JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

Chick Corea And Gary Burton チック・コリア&ケーリー・バートン In Concert, Zurich,

青春の熱くも儚い、思い出

この豪奢な感じの2枚組のレコードを買った時の興奮は、

今でもよく覚えている。

そして、また、針を落として、スピーカーから流れる、

二人の一糸乱れぬ、緊張感のある完璧なデュオ・プレイを聴いて、

心から打ち震えたものだ。

 

当時高校2年生だった僕は、何を思ったか、このLPを聴いて、

ある決意を固めた。

当時、それほど話したこともない、憧れの女の子に告白しようと。

それも、ラブレターを添えて、「このLP聴いてみて」と、

勇気を振り絞って、彼女に渡したのである。

 

僕には、確信があった。

それほど、このLPには、当時の僕の心を鼓舞し、勇気づけ、

必ず願いが叶うという、自信と勇気を与えてくれた。

「きっと、これを聴いてくれれば、僕の気持ちは伝わり、満願成就!」

 

彼女は、手紙とLPを一旦受け取ってくれ、

返事を後で聞かせてくれることになった(と記憶している)。

その夜、今頃、LPを聴いて、彼女の心は感動に打ち震えているだろうと、

勝手な想像を膨らまし、眠れぬ一夜を過ごした。

 

翌日、LPの収まったビニールケースを手に、

「これ、ありがとう。私付き合っている先輩がいるの、ごめんなさい」

と言って、LPを返されたのである。

「あ、はい。わかりました」と僕は言ったような気がする。

 

僕が悲しかったのは、既に付き合っている人がいて、フラれたという事実よりも、

LPを聴いた感想や印象を何も語ってくれなかったことにあった。

 

今から、考えてみれば、高校生の女の子にジャズなんか聴かせても、

殆どの子は、響かないのは、当たり前なのだが、

当時の僕は、このLPの音楽の魔力を、信じ切っていたのである。

それほど、このLPは、私にとって、説得力と高揚感が備わった

ライブアルバムであり、青春の熱くも儚い思い出そのものなのである。

 

特に「Tweak」を聴くと、今でも切なくなってしまう・・・・。

 

 

Chick Corea(p),

Gary Burton(vib)

 

Senor Mouse 9:53

Bud Powell 8:30

Crystal Silence 11:53

Tweak 5:59

Falling Grace 5:05

Mirror, Mirror 5:28

Song To Gayle 6:59

Endless Trouble, Endless Pleasure 4:49


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