JAZZ遊戯三昧

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SONNY ROLLINS ソニー・ロリンズ There Will Never Be Another You

ニューヨーク近代美術館のロリンズ

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ロリンズはニューヨーク近代美術館で二枚のライブ録音を残している。

1枚目は、1965年のカルテット演奏。

2枚目は、20年後の1985年のソロによる演奏。

 

70年代以降のロリンズは、どちらかというと苦手なのだが、

1985年のMoMAでのライブは、ソロというアプローチで、

往年のロリンズ節をたっぷり聴かせてくれて、大いに嬉しかった記憶がある。

 

しかし、私にとって、この1965年のライブ盤こそが、

ロリンズを心底好きになったきっかけになった思い出深いアルバムである。

 

内容的には、最後の表題曲など、16分の長尺で、延々と続くテナーとドラムの

やりとりが続き、やっと、フェイドアウトするかと思ってホッとしていたら、

なかなか終わらず、そこから5分近く、ロリンズのウタウダしたエンディングで、

閉口するところがあったり、

ステージを所狭しと歩き回るロリンズに、収録マイクが届かず、

遠くから小音量で聴こえてくる音しか拾えていないなど、

ライブ音源としての完成度は極めて低いのだが、

私にとって、まさにそのことが、逆にロリンズというパフォーマーの大きさ、

魅力を増幅させてくれた。

簡単には吹き終わらない、嫌がらせのような演奏は、

ある意味、ロリンズの奔放で豪快な魅力を象徴しているのだが、

それとは裏腹に、アドリブを極めた孤高のロリンズ特有の不安、孤独感といった

翳りを見るようで、とても切なくなってくるのである。

 

「豪快にスイングする中にある翳り」が、

ロリンズ中毒になった一番の原因である。

 

Sonny Rollins(ts)

Tommy Flanagan(p)

Bob Cranshaw(b)

Billy Higgins, Mickey Roker(ds)

1965年6月17日 ニューヨーク近代美術館

 

1 On Green Dolphin Street
2 Three Little Words
3 Mademoiselle De Paris
4 To A Wild Rose
5 There Will Never Be Another

 


On Green Dolphin Street (Live At The Museum Of Modern Art, New York, 1965)