JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

Ben Wendel ベン・ウェンデル High Heart

ツインキーボードが効いています。

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もう、こういうバリバリの、今を時めくニューエイジ音楽を聴く勇気も

だんだん薄れてきていることは確かである。

 

ただ、まだまだ、諦めてはいけない。

この大胆な編成による、実験的な挑戦は、しっかり押さえておかなくてはと思い、

itunesで先行リリースされたものを、ダウンロードしたのは、9月下旬。

最近やっと、全曲聴き終えた。

若い時に聴いていたら、さそがし、興奮して、

のめり込んでいただろうなぁと思われ、素晴らしくスケールのデカい、

これまであまり触れたことのない、

新しいジャズのアプローチを十分に感じさせてくれた。

 

特徴と魅力を分析してみる。

 

まず、初めて聴く、マイケル・マヨと言うボーカルの全面的な導入。

こうしたポイスを大胆に取り入れた作品というのは、

余程グラウンドがしっかりしていないと、地に足がついたジャズにならない。

しかし、PMGやチック・コリアの諸作品と同様、

グラウンドが錚々たるメンバーによる硬質で完成度が高く、

ボーカルによって、サウンド全体の広がりと奥行きがさらに深くなっている。

 

次に、ツインキーボードによる音の厚みとスピード感の醸成。

私は、シャイ・マエストロのピアノはどちらかと言うとあまり好きではない。

レイジーさが希薄で、クラシカル、テクニカルな匂いが強い感じがして、

敬遠するタイプのピアニストだ。

しかし、このグループでのエクスプレッションにおいては、

それが、非常にマッチして、サウンド全体の厚みを増し、

さらに、高揚感、浮遊感そして、スピード感をより演出させるのに成功している。

正直、大好きなジェラルド・クレイトンと、

今一つのシャイ・マエストロのどちらが、

どのフレーズを弾いているのかさえ、よくわからない。

それぞれのピアニストの個性という次元を超えて、

グループサウンドに新しい構築物として溶け込んでしまっている感じがする。

 

そして最後に、安定のウェンデルのソロ。

こちらは、不動である。これまでと変わらず達者である。

 

ウェンデルの野心的かつ、大胆な挑戦に拍手を送りたい。

 

Ben Wendel – saxophone, bassoon, EFX
Shai Maestro – piano, Fender Rhodes
Gerald Clayton – piano, Fender Rhodes
Joe Sanders – double bass
Nate Wood – drums
Michael Mayo – voice, EFX

 

1. High Heart
2. Burning Bright
3. Kindly
4. Less
5. Drawn Away
6. Fearsome
7. Darling
8. Traveler
9.Lullaby (日本盤ボーナス曲)
2020年作品

 


Ben Wendel High Heart: Burning Bright