JAZZ遊戯三昧

オススメのジャズアルバムを紹介してます。

Jesper Bodilsen, Morten Lund & Henrik Gunde『Moods』

素直、丁寧、節度

ステファノ・ボラーニとの作品で、いいなあと思っていた、

デンマークのベーシスト、イェスパー・ボディルセン。

ヘンリック・グンデと言うピアニストを従えたピアノトリオ作品。

 

北欧のテイストという形容詞は、いつもあまり好きになれないのだが、

こんなに真っ当な、ピアノトリオはついつい聴き惚れてしまう。

ヘンリック・グンデは初めて聴いたが、素晴らしいピアニストである。

ドラムのモーテン・ルンドもとても繊細なドラムで、

アノトリオの品位をしっかりサポートしている。

 

ジャズは即興音楽で、スポンティニアスで感性の趣くまま、自由奔放な

アドリブこそ魅力なのだと力説する輩も多いし、その通りとも思うが、

一方で、こういう節度ある丁寧に創られたものにも心奪われる。

ここのところ、またクラシックを聴き出したせいもあるかも知れないが、

推敲に推敲を重ねた音楽、構成美、一音一音のハーモニー、

全てが礼儀正しく、素直で、節度がある。

茶道の様な、洗練された所作の美しさといおうか。

 

ムーン・リバーとかアイル・ウェイト・フォーユーといった、

ベタな映画のラブソングや

バイ・バイ・ブラックバードや、朝日の如く爽やかになど、

どスタンダードを取り上げているところも、心憎い。

ムーン・リバーの演奏動画を載せておくが、

無駄な処が何一つなく、原曲に対する愛おしさと、三者の心の通い合いが

伝わってくる、端正な演奏である。

 

Henrik Gunde (Piano) 

Jesper Bodilsen (Bass) 

Morten Lund (Drums)

 

1  Blame It on My Youth

2  My Funny Valentine

3  Solveigs Sang

4  Kärlekens ögon

5  I Will Wait for You

6  Bye Bye Blackbird

7  Moon River

8  Softly as in a Morning Sunrise

9  Fanølyng

 


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Gal Costa  ガル・コスタ Canta Tom Jobim

異国の蒼穹に溶け込んでゆくうたごえ

 

今一つ、心が沈みがちなときに、

この二枚組のガルのライブ・アルバムを聴くと、

元気をたくさんもらえる。

わたくしにとって、宝物の一枚である。

 

ガル・コスタの伸びやかで、艶やかな声は、

低空飛行しているわたくしの心持ちを、空高く飛翔させてくれる。

 

多分、広い会場での、大勢の観客を入れたライブ録音ならではの、

雰囲気とエフェクトの効いた音場が、ガルの唄声をより引き立たせているとは思う。

まさに、ブラジルの蒼穹に溶け込んでいくような開放感とスケール感を

味わうことができる素晴らしいライブ録音である。

 

1999年に行われた、アントニオ・カルロス・ジョビンへの

トリビュートコンサートとして、ガルは一曲一曲、簡潔に丁寧に、

できる限り、原曲に忠実に歌い上げている。余分な装飾はほとんどない。

 

だからこそ、

改めてジョビンの曲の素晴らしさに身を委ねることができる。

切なさ、アンニュイ、優しさ、戯(おど)けた、コケティッシュな、慟哭・・・

などなど、様々な形容と感情が心に浮かんでは消えていく。

 

こんなストレートな歌い方をして、聴衆を感動させることができるのは、

ガルを置いて他にないとさえ思えてくる。

ガルの特徴のある声質だけでなく、なんと言ってもその圧倒的な歌唱力は、

孤高の存在感を放っている。

何度聴いても胸が高まる。

 

01- Fotografar
02- Por Causa de Você
03- Garota de Ipanema
04- Derradeira Primavera
05- Wave
06- Brigas Nunca Mais Discussão
07- Piano Na Mangueira
08- Esquecendo Você
09- Chega De Saudade
10- Samba Do Avião
11- Anos Dourados
12- Desafinado
13- Tema De Amor De Gabriela
14- Lígia
15- Janelas Abertas
16- Corcovado
17- Bonita
18- Triste
19- Chovendo Na Roseira
20- Falando De Amor
21- A Felicidade
22- Frevo
23- Se Todos Fossem Iguais A Você

 

いつ聴いても泣いてしまいそう・・・・


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Megumi Yonezawa Trio 米澤めぐみ  Resonance

抑制美

 

初めて聴く、米澤めぐみのピアノである。

 

ひたすら、淡々と、抑揚も抑え気味で、過度に盛り上げることもない。

延々とたゆたうように、むしろ朴訥とした印象で、修行僧のように、

無表情で通り抜ける感覚が心地よい。

 

華美で、ダイナミズムに満ち溢れたアプローチをする

アーティストも時には良いが、

最近の私の好みは、こういうピアノの弾き方にあるのかもしれない。

 

以前紹介した、ハロルド・タンゴに通じる、不思議さと妖艶さ、

とりとめなく、掴みどころのない魅力があるように思う。

もう少し、具体的に表現してみると、

タッチの柔らかさ、フレーズの断片性、弾き込み過ぎない抑制力、

全体を覆う大らかさ、多様な間合いの取り方、などなど

もちろん、ジャズの伝統的なバックボーンと技術を十分に兼ね備えた上での

ことであることは言うまでもないが。

 

巨匠、ハンク・ジョーンズにも同じ匂いがある。

繰り返しになるが、

とにかく、気張らず淡々としているところが、グッとくるのである。

 

まだ若いのに、既に老成した渋みがあるのは、驚きである。

 

Megumi Yonezawa (p)
Mike McGuirk (b)
Mark Ferber (ds)

1. Before the Wind
2. The Radiance
3. It’s All That Matters
4. Valley In the Deep Sea
5. Lone Winds Blow
6. Countdown
7. Body and Soul
8. Everything I Love
9. Yet Again At Will
10. All Or Nothing At All 

 

ワルツの解釈に非凡さを感じる・・・


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Miles Davis  マイルス・デービス Sorcerer

クリエイティブとは

マイルス、ショーター、ハンコック 、ロン、トニー、

黄金ユニットの最高傑作であると思う。

 

非常に自由で挑戦的に演っている。

まさにジャズの特質である即興性というものを

いろいろな角度から追求し、構築していった実験的なプロセスがここにある。

丁寧に聴き直してみると、

実に多様なチャレンジがなされていることに、改めて気づかされる。

最小限のテーマ提示、ビートの多様さ、

スポンティニアスなバッキング、などなど・・・

 

このアルバムでは、マイルスは楽曲を提供しておらず

方法論的に、もはや、マイルス自身による細かいディレクションというより、

個々のメンバーの確立した美学が、触発しあいながら、自発的に、

これまでに聴いたことのないような斬新な音楽を創り出しているわけだが、

却って、そのことが、マイルスというオーガナイザーとしての存在感を

際立たせる契機となった、重要なアルバとも言えるのではないか。

実にクリエイティブな音楽である。

 

そして、何より

こうした実験的でクリエイティブな挑戦でありながら、

アルバム全体の気品というかトーナリティが損なわれず、

実に完成度の高い、新たなクラシカルともいうべきスタイルを構築しているところが、

マイルス・デービスというミュージシャンの恐ろしいところである。

まさに、唯一無二のサウンドリエーターである。

 

Miles Davis(tp)
Wayne Shorter(sax)
Herbie Hancock(p)
Ron Carter(b)
Tony Williams(ds)

1967/12

 

1. Prince Of Darkness

2. Pee Wee

3. Masqualero

4. The Sorcerer

5. Limbo

6. Voneta

7. Nothing With You

 


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DOMi & JD BECK

ハマってます。

 

やっばり、すごすぎます

あらためて、こうふん してます

ひさしぶりの たかまり

こんなことって・・・・

 


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この「スマイル」という曲、頭から離れません。あゝ・・・。


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Pat Metheny パット・メセニー Watercolors

メセニー&メイズの原点

 

1曲目のアルバムタイトル曲「Watercolors」を聴くと、

たちまちに、多感な頃の若かりし時代の、甘酸っぱいような、

悲しいような、嬉しいような、寂しいような、

なんとも言えない、色彩豊かな感覚が胸いっぱいに広がってくる。

 

ECMらしいジャケットのデザインも大好きで、

シンプルでありながら、鋭角で豊饒なサウンドを象徴しているような気がする。

 

エバーハルト・ウエーバーのスペーシーなベースが効いているせいか、

その後の初期のPMGとは、また一味違う叙情性と映像性がある。

上手く表現出来ないが、なんとも儚げでありながら、乾いたイメージは、

パット・メセニーライル・メイズという双頭の原点のような気がしてならない。

この二人の感性が見事に触発して、こんこんと湧き出る泉が如く、

流れ出る美しいフィーリングは、喩えようがない。

時の立つのを忘れるくらい、音楽に身を委ねることができる、

わたしにとって大切な一枚である。

 

「Rakes」や「River Quay」といった何とも軽やかでポップな曲も

何度聴いても、鳥肌がたつ。

シンプルでさりげない謡いなのだが、彼らの考え方というかスタンス、感性が、

ストレートにひしひしと伝わってくるような素晴らしい演奏である。

 

そして、最後を飾る「Sea Song」!

わたしの青春の心象の原点でもある。

長い演奏だが、何度聴き返したことか。

 

メセニーとメイズの出逢いに、我々はひたすら感謝するしかない。

 

 

Lyle Mays (p)
Pat Metheny (el-g)
Eberhard Weber (el-upright b)
Danny Gottlieb (d)

 

Oslo, Norway, February, 1977

 

1. Watercolors
2. Icefire
3. Oasis
4. Lakes
5. River Quay
6. Suite: Florida Greeting Song
7. Suite: Legend Of The Fountain
8. Sea Song

 

ライブ盤しかなかったのですが、参考までに。


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DOMi & JD BECK ドミ& JDベック NOT TiGHT

ワクワクする! 「軽さ」と「確かさ」

あまりこれまで聴いたことのないタイプの音楽でも

わたしが、惹きこまれ、ワクワクしてしまう時に感ずるときの傾向として、

いつも「軽さ」と「確かさ」の感覚というものがある。

「確かさ」とは、

  音楽の基本やテクニカルな素養があるレベルに到達していること。

「軽さ」「軽やかさ」とは、

  展開、アプローチ、発想が斬新で独創的なのだけれど、

  そのことを全く感じさせない、メソッドを超越したセンスがあること。

「確かな」音楽は、数多(あまた)あるかもしれないが、

なかなか上質な「軽さ」「軽やかさ」を纏った音楽は、そう簡単には生まれない。

 

思うに、歴史的な名盤と言われるものも、

常に「軽やかさ」を身につけている。

説明的でこれ見よがしの、押しつけ的な「重さ」から解放されて、

既にあるべきしてあるという、「軽さ=余裕」を伴う存在感が際立っているのが、

名盤の条件なのであろう。

 

もっと言えば、「軽さ」とは、

必然でありながら、

どこにでも飛翔していってしまえるような自由度と開放感を

併せ持っているのである。

 

まあ、簡単に言えば、

聴いていて、恐ろしく心地よく気持ちが奪われてしまうのである。

心がウキウキして、フワフワして、

あゝ、いいなぁと溶けてしまって、聴き耽ってしまうのである。

 

いけない、全くこのアルバムの二人の主役について全く紹介していない。

恐るべき、才能。

とだけ、コメントしておこう。

 

1 LOUNA’S iNTRO
2 WHATUP
3 SMiLE
4 BOWLiNG (feat. Thundercat)
5 NOT TiGHT
6 TWO SHRiMPS (feat. Mac DeMarco)
7 U DON’T HAVE TO ROB ME
8 MOON (feat. Herbie Hancock)
9 DUKE
10 TAKE A CHANCE (feat. Anderson .Paak)
11 SPACE MOUNTAiN
12 PiLOT (feat. Snoop Dogg, Busta Rhymes & Anderson .Paak)
13 WHOA (feat. Kurt Rosenwinkel)
14 SNiFF
15 THANK U

 

ハンコック をフャーチャーした「moon」    粋だなあ!!!


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