声というものの相性
心の琴線に触れる歌声というものは、誰しもあると思う。
わたしの場合、
女性ボーカルでは、このアイリーン・クラールとキアラ・シベロ。
男性ボーカルでは、トニー・ベネット。
1978年、46歳でガンで早逝したアイリーンは、
ロイ・クラール(ジャッキー&ロイ)の妹であることは、
あまり知られていないかもしれない。
このアルバムの冒頭曲「I LIKE YOU,YOU'RE NICE」を聴いていただきたい。
少し鼻にかかった、適度な太さのある、柔らかな音質の歌声。
音程を伸ばす時のゆっくりと、たゆたうビブラートが、なんとも心地よい。
ボーカリストはピアノとのデュエットの時こそ、その真価を発揮するのでは。
ビル・エバンスとトニー・ベネットのデュオも両者の魅力を余すところなく
引き出した傑作であると思うが、
このアラン・ブロードベントとの語り合いも、
お互いが信頼し合って、心ゆくまで、その類いまれな歌心を発揮した
歴史的名盤であると思う。
RENE KRAL(vo)
ALAN BROADBENT(p)
1.I LIKE YOU,YOU'RE NICE
2.WHEN I LOOK IN YOUR EYES
3.A TIME FOR LOVE/SMALL WORLD
4.LOVE CAME ON STEALTHY FINGERS
5.NEVER LET ME GO
6.SPRING CAN REALLY HANG YOU UP THE MOST
7.LUCKY TO BE ME/SOME OTHER TIME
8.WHERE IS LOVE
9.DON'T LOOK BACK
REC:December 1974